プーチン氏が“やられると困る”作戦とは? 「第三国でも攻撃するぞ」発言の真意 ウクライナのF-16登場を前に
航空戦力撃滅の王道は地上撃破
F-16は、地対空ミサイル陣地への攻撃能力や、敵戦闘機との空中戦に優れた機種ですから、数の上で優位なロシアにとってもF-16との空中戦は非常にリスクが高く、可能ならばやりたくないと考えていると筆者(関 賢太郎:航空軍事評論家)は推測します。そのため、ロシアはF-16とは戦わず、それ以外で撃破する方法に力をいれる可能性があります。
航空戦において敵の航空戦力撃滅をはかる最も効率的な方法は「地上撃破」することです。ロシアは、ウクライナの主要な航空基地を射程に収める、複数の巡航ミサイルや弾道ミサイルを保有しており、これらはF-16にとって最も大きな脅威となると考えられます。
航空基地への攻撃は、現代戦においては航空優勢(制空権)を確保するために必ず行われる作戦の1つですが、これを無効化する方法が存在します。それが、第三国に戦闘機を駐留させ、そこを出撃基地としてしまうことです。
たとえばポーランドの航空基地からF-16を発進させた場合、ロシアはNATO加盟国であるポーランドの航空基地を攻撃することがNATOの直接的な軍事介入を招いてしまうことにつながると考え、少なくとも攻撃をためらうはずです。
このような、政治的に手出しのできない拠点を使用して航空戦を優位に進めるという手段は、実は珍しいことではありません。
このような基地は「聖域」と呼ばれますが、これらを有効活用した過去の例としては朝鮮戦争があります。韓国側を支援した国連軍は中国領空への航空機侵入を禁止していました。そのため北朝鮮空軍だけでなく、それを支援するために参戦した中国義勇軍は、中国領内の航空基地からジェット戦闘機を出撃させ、国連軍側に空中戦を強いたのです。
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