自衛隊が挑んだ“大規模リアル射撃訓練”の顛末 戦闘機も出動し「海のギャング」一網打尽 地域の風物詩だった時代
自衛隊では、部隊が行動する地域の住民との関係を良好に保つため、地域の困りごとを一緒に解決していく活動があります。1960年代、その活動の一環として、なんと北海道でトドに挑んだことがあります。
現実でも自衛隊は“かいじゅう”に縁があった!
自衛隊では、部隊が行動する地域とその地域住民の関係を良好に保つために、地域の困りごとを一緒に解決していく活動があります。それが、「民生協力」「民生支援活動」と呼ばれる活動です。
一番有名なところでは災害支援活動がありますが、そのほかにも、不発弾の処理やマラソン大会の運営協力、お堀の清掃活動、雪まつりでの雪像作りなども、民生協力に含まれます。さらに過去にさかのぼると、有害鳥獣駆除などを担当しており、太平洋に面した北海道新冠町で行われた「トド退治」なども珍しい民生協力のひとつといえるでしょう。その顛末を見てみます。
1960年代、北海道日高沿岸では、押し寄せるトドの被害に悩まされていました。地元の漁協によれば「トドに魚網が荒らされ、漁業資源を食い荒らされている」というのです。
トドは、北太平洋やオホーツク海、ベーリング海に生息する大型の海獣です。オスの体長は3mを超えるほどもあり、魚やイカ・タコなどの頭足類を好んで食します。トドは気性が荒く、網にかかった漁獲物を奪ったり、漁具を破壊したりすることから漁業関係者からは「海のギャング」と呼ばれ嫌われていました。そんな海の荒くれモノが当時の北海道沿岸には数千匹もいたといわれており、日高沿岸だけでも被害総額は年間2000万円(当時)にまで及んでいたそうです。
最初、日高地方の漁師は捕鯨船を借りて捕鯨銃などでの駆除に乗り出しますが、そもそも大人のオスの重量は1トンを超えるため駆除困難なうえに、あまりにトドの数が多かったため効果は薄く、被害に耐えかねた日高新冠町の漁業関係者はついに自衛隊に協力を要請しました。
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