翼の端がなぜ曲がってる? 旅客機の重要な工夫 原型を作った数々の“異形機”開発者とは

現代の旅客機の多くは、主翼の先が曲がっており、先端部分だけ空に向かって“立った”ような形の機体がみられます。これは「ウィングレット」とよばれ、重要な役割があります。

主翼の先端がピンっと曲がっている旅客機

 2024年現在、空港で離発着している旅客機の多くは、主翼の先が曲がっており、先端部分だけ空に向かって“立った”ような形となっています。このような主翼になっているのには意味があります。

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JALのボーイング767-300ER。主翼端にウィングレットを装着している(画像:reezuan/123RF)。

 この機構は「ウィングレット」と呼ばれ、燃費を改善する効果があります。

 飛行機は、主翼の上と下の気圧差で空中に浮く仕組みで飛んでいます。飛行中の機体は、主翼の上の気圧が低く、下が高くなっており、これにより上方へと持ち上げられる力、(揚力)が発生し、宙に浮くことができます。

 このとき、翼の先端部分では、気圧の高い下側から上に向かって空気が引っ張られ流れてしまいます。翼は前方へと移動しているので、引っ張られる方向は斜め前方になり、こうして主翼の先端で空気の渦が尾を引くことになります。これが「翼端渦」です。

 翼端渦は飛行の際に不要な空気抵抗となるため、その抵抗のぶん、燃焼を多く消費します。それを解消するのがウィングレットです。先端を上に向けることで、翼端の空気が主翼の上に回り込みづらくなり、結果、翼端渦の発生を低減できるというわけです。

 このウィングレットを初めて実装したのは1988年に初飛行した「ジャンボ・ジェット」のベストセラーサブタイプである「ボーイング747-400」とされています。実はこの機構の原型には、ミリタリー好きの間で“珍兵器”や“変態機”と呼ばれる航空機の開発で知られる人が関わっています。リヒャルト・フォークト博士です。

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