待望! F-16戦闘機を手にした「金欠大国」再びイギリスを攻めるか? 過去も未来もカネ次第と言える理由
F-16あってもイギリスの脅威にならないワケ
アルゼンチン国防省は、F-16の購入が自国民の誇りを取り戻すものとなると強調し、これを歓迎しています。しかし、F-16購入のための資金調達はアメリカや民間銀行からの融資に依存しており、しかも導入後もF-16がいつでも使えるよう維持し続けるためには、決して安価であるとは言えないF-16の運用コストをなんとかして捻出していかなければなりません。
アルゼンチン空軍が超音速ジェット戦闘機を失った主要な理由である経済問題は、依然として解決されておらず、そう考えると同国にとってはF-16を導入できたからと言って、その前途は必ずしも明るいものではないのです。
アルゼンチンは2024年3月のインフレ率が前年同月比287.9%となったと発表しており、それを鑑みると深刻な経済危機に陥っているといえるでしょう。このままでは借金までして手に入れたF-16が、A-4やミラージュシリーズのように地上に留め置かれ続けるということも十分に考えられます。
このような経済的な困窮に起因する諸問題が解決できない限り、イギリスに戦いを挑んでもアルゼンチンにしてみたら何のメリットもないのは明白です。
ゆえに、アルゼンチン空軍が本当に超音速ジェット戦闘機を取り戻せるのかどうかは、すべて経済問題を解決できるか、その一点にかかっているといえるでしょう。
【了】
Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)
1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。
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