「戦車」じゃなくて「特車」です 自衛隊内の独特な呼称 今はそう呼ばない理由とは?

陸上部隊の花形ともいえる戦車。大きな砲と砲塔を持ち、装甲で覆われて、履帯で悪路を走ることもできるこの大型の火器として知られていますが、日本の自衛隊は一時期この車両を「特車」と呼んでいました。

潔く「戦車」と言おうになったワケ

 この徹底した“言い換え”によるイメージ戦略は、自衛隊の発足後、陸上自衛隊だけでなく海上自衛隊、航空自衛隊でも行われました。海上自衛隊の艦艇は「軍艦」ではなく「自衛艦」。敵と戦うための艦艇は「戦艦」や「巡洋艦」といった種別に分けず、すべて「護衛艦」としており、2024年現在も続いています。

航空自衛隊に関しても相手を攻撃するという言葉はどうしてもイメージが悪いので、敵の地上目標などを攻撃する機体に関して「攻撃機」という名称は使用せず。自国の部隊を支援する戦闘機「支援戦闘機」という名称で攻撃機を導入しています。

 しかし「特車」の名称は1962年に廃止され、見た目通り「戦車」に改められます。それは、警察組織でも「特車」が導入されたため、「混同を避ける」という目的がありました。

 実は警察でも、現在の機動隊の前身である警視庁予備隊では、アメリカ軍の払い下げ車両のほか、戦中に使われた九五式軽戦車や九七式中戦車のシャーシなどを活用した、放水車や装甲車を使用していました。1960年代以降、これら車両は正式名称を特型警備車といい、略して「特車」と呼ぶこともあったのです。

 

 ただ、「特車」の名称を用いていたのは、もともと自衛隊の内部だけで、一般の人は戦車と呼んでいたため、名称の変更に大きな混乱は見られなかったといいます。

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日本の自衛隊が運用していたアメリカ製のM4A3E8「シャーマン」戦車(画像:防衛省)。

 以後、「特車」は「戦車」として現在まで運用が続けられています。また、航空自衛隊の「支援戦闘機」という名称も2005年に廃止となり、すべて「戦闘機」の名称で統一されることになりました。しかしそのほかの「護衛艦」や「普通科」といった名称は、自衛隊用語として現在でもそのまま使用されています。

 

【了】

【警察車両だけじゃない】これが、戦後様々な車両に流用された九五式軽戦車(写真)

Writer:

なぎはまな。歴史は古代から近現代まで広く深く。2019年現在はフリー編集者として、某雑誌の軍事部門で編集・ライティングの日々。趣味は自衛隊の基地・駐屯地めぐりとアナログゲーム。

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