ロシア軍「亀戦車」は何がいいの…? 防御モリモリ不格好だけど“新型” 21世紀の突撃砲に?

ドローンにだって終焉の時は来る

 FPVドローンの使用が急激に増えたのは2023年9月以降であり、SNSへ投稿された映像からはいかにも猛威を振るっているような印象を受けます。しかしそれらは編集切り抜きされた宣伝材であることに注意が必要でしょう。

 西側シンクタンクの調査でも「ロシア・ウクライナ戦争では、砲撃が双方の死傷者の約80%を占める」とされているように、ドローンだけが戦果を挙げているわけではなく、砲撃やほかの火器による複合的な結果であることが多いのです。

 ドローンもとにかく数を投入するため安価に抑えられており、電波妨害対策はほとんど施されていません。SNS上に現れない、制御不能で失われているドローンは相当数に上るとみられます。戦局の趨勢を決めているのはドローンだけではなく、結局は砲弾の数ということです。ドローンがいつまでも無双状態にあるとは思えません。

 西側が提供したM1エイブラムスやレオパルト2も、ウクライナ軍での働きが見えてきません。これらは対戦車戦闘用に造られており、必ずしもウクライナ軍の現状のニーズに合致しているとはいえないようです。

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ドイツ軍のIII号突撃砲。砲塔が無いのが特徴で歩兵支援用に開発され、後に対戦車用にも使われるようになった(月刊PANZER編集部所蔵)。

 膠着消耗戦に入ったウクライナの戦線で求められているのは、突撃砲のような突破戦支援戦車です。ロシアメディアは新型戦車と呼びましたが、「タートルタンク」はいかにも不格好で戦車のイメージを壊します。しかし100年以上前に戦場で陣地突破用兵器として登場した戦車も、鋼鉄の箱で不格好でした。

「タートルタンク」は今後洗練されて、21世紀の突撃砲に進化するかもしれません。

【了】

なんて奇妙な姿だ… ロシア軍の「亀戦車」を見る(写真)

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Writer: 月刊PANZER編集部

1975(昭和50)年に創刊した、40年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。

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