「病院船」ついに日本で展開へ 首相主導で計画策定スタート なぜいま動いた?

病院船の活用は“総論賛成”でも“各論未定”

 対策本部が立ち上がっても、むしろ活用方法の検討は困難を極めたといえるかもしれません。村松防災担当相は会見で次のように話しています。

「今回の能登半島地震におきましても、すぐ思い立ったのが、この病院船があれば、どんな対応ができたかなというようなことを考えました。特に透析の方々はヘリで移送をいたしましたけれど、(病院船があったら)果たしてどんな使い方があるか」

 新しい病院船の実現にも課題があります。

「こんにちまでの議論の中で新しく作るか、あるいはリースのような形にするか。また設置も東日本と西日本にあった方がいいのか、日本海側と太平洋側にあったらいいのか。様々な論点がありますので、どういう災害が発生するかという予見性を高めて、どういう体制をとることで、すぐに対応がとれるかという議論を進めていかなければならないなと改めて思っているところです」

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松村祥史防災担当相(中島みなみ撮影)。

 病院船が実現しても、必ずしも接岸できるとは限りません。能登半島地震では港も被災しました。

「今回港が使えませんでしたから、そういう場合にどういう事象が発生するのか、あるいは沖に停泊をしてどういうオプションが可能であるのか、様々な事象を検討しながら病院船の活用方法を検討してまいりたいと思っております」

 内閣官房は、マニュアル作成のため、有識者、事業者、自治体および関係府省を構成員とする作業部会も開催し、運用に当たっての活動マニュアルを具体化します。

【了】

【なんじゃこりゃ!?】かなり異形なアメリカの新型「“爆速”病院船」(画像)

Writer: 中島みなみ(記者)

1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。

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