長ぁ~い「ダブル連結トラック」なぜ普及しない? 物流問題の切り札 メーカー担当者がこぼした課題

ダブル連結トラックの普及なぜ進まない?

 ダブル連結トラックについては行政も大きな期待を寄せているようで、2022年には走行可能な高速道路のルートが一挙に広がり、従来の2.5倍にあたる約5140kmまで拡充されています。加えて、運行を支援するためにそのルート上のSA、PAにおける駐車スペースも2023年時点で125か所269台分まで整備が進んでいます。

 ただ、肝心の運行台数については通常の大型トラックやトレーラーと比べるとまだまだ少なく、2023年6月時点では270台で、実施企業も15社に留まっています。実験走行を開始した2017年と比べれば右肩上がりで増大してはいるものの、ダブル連結トラックの輸送力を使いこなせるのは、荷物の取り扱い量が多く営業範囲も全国規模の大手企業に限られていると言えるようです。

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実証実験に参加した運送各社のダブル連結トラック(画像:国土交通省)。

 また、運行台数が増えない別の理由として、実際にダブル連結トラックの実車を触って試すことができないというのもあります。ダブル連結トラックに乗務する新規ドライバーへの講習については、そのほとんどが既に車両を導入済みの会社による自社育成で占められているといいます。

「日本トレクス」では、実際に車両に触れて運転技術向上や導入の検討を行いたい企業を対象にした「トレクスドライビングスクール」を今年(2024年)4月に開講。ここでは運転免許の取得こそできませんが、実車のハンドルを握り動かすことで運転技術を向上させることが可能です。現時点の対象車は通常のトレーラーのみですが、今後はダブル連結トラックの講習会も予定しているとのハナシでした。

 市井でも見かけることが多くなっているダブル連結トラック。さらなる普及を望むのであれば、このような車両販売以外の付随したサービスが必須であり、それこそが、ダブル連結トラックの台数増大への第一歩と言えるのかもしれません。

【了】

【見たことある?】走行中は近づけない ダブル連結トラック曲るための重要部分(写真)

Writer: 布留川 司(ルポライター・カメラマン)

雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info

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