F-16戦闘機が「いるだけ」でロシアは黙る!? ウクライナへ供与目前 空を一変させるその意味
MiG-29とF-16では「HARM」の相性が段違い!
「HARM」は既にウクライナへ供与されており、既存のMiG-29戦闘機などに搭載し運用されていることが明らかになっていますが、ロシア製のMiG-29とアメリカ製の「HARM」では本来、システムの互換性はありません。そのため、おそらく既に位置が判明しているレーダー電波発信源、たとえば固定式陣地を構築する必要がある長射程地対空ミサイルS-300などに攻撃する、というような限定的な使い方しかできていないのではないかと筆者(関 賢太郎:航空軍事評論家)は推測します。
しかし、「HTS」を搭載したF-16であれば、レーダー電波を逆探知することで、収集した電波情報を蓄積・共有している「電波情報ライブラリー」から詳細情報を得られるほか、その発信源位置を特定することまで可能です。
たとえば、ロシア軍が移動可能な中型の「ブーク」地対空ミサイルを隠蔽し、F-16を待ち伏せしていたとします。ほかのレーダーサイトなどからF-16飛来の報告を受けた「ブーク」がこれに奇襲をかけるためレーダーを起動しF-16を照準した場合、その瞬間にF-16の「HTS」は探知します。
これによって自らの位置を暴露した「ブーク」は、逆に「HARM」に対して照準情報を与えてしまい、F-16の攻撃に晒されることになります。
「ブーク」を始めとした地対空ミサイル側が「HARM」から逃げるには、「HARM」そのものを撃墜するかレーダー電波を停止し即時移動しなくてはなりませんが、「HARM」は高速対レーダーミサイルの英略どおり高速で飛んでくるため、避けるまでの時間が極めて短いのです。
加えて、その推定射距離は100kmと、一部の大型地対空ミサイル以外はほぼ上回るほどリーチも長いため、F-16に対して攻撃をしかけるのは反撃されるリスクを覚悟し、場合よっては諦める必要があるでしょう。
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