毎月1万機必要 ウクライナの軍事ドローンは「驚きのローテク」で運ばれていた! スーツケースに詰めて30時間の列車旅
「列車は安全」でも最前線まで行くのは危険
ウクライナを支援している欧州連合(EU)は、ウクライナがロシア領を攻撃することに良い顔をしません。それを周知しているロシア軍は、ウクライナとの国境ギリギリのロシア領内に軍隊を大量に派兵し、国境を越えずに遠隔攻撃してきます。
しかし、「勘違いして欲しくない。列車は安全なんだ」と、スムレニー氏。というのも、ロシア軍が砲撃に使うミサイルは走っている列車を追撃できるほど精度が高くありません。GPS搭載で遠方まで自動飛行が可能なドローンもミサイル同様の低い精度です。
ドローンに搭載されたカメラで人間がターゲットを目視しながら操縦する「FPVドローン」は精度が非常に高く、列車を標的にできるものの、飛行距離が短く、国境から10km程度しか飛ばせないのでお話しになりません。つまり、100km/hでウクライナ国内を走る列車を、国境線を越えず正確に攻撃する能力はロシア軍にはないのです。
危ないのは、精度が低いミサイルや自動操縦のドローンでも攻撃可能な駅です。首都キーウや南部のザポリージャなど、主要都市の中央駅はことごとく過去にミサイル攻撃を受けています。
特に危険なのが、最前線に近い駅だそうです。そうした駅では大概、毎日1本しか列車はなく、列車は満員な上に、乗降する人の半分は軍人だとスムレニー氏は指摘します。戦時下でも定刻率93%という驚異的な正確さを誇るウクライナ鉄道ゆえに、列車の到着時刻を狙って駅を攻撃すれば、無防備な軍人を大量に攻撃できるわけです。
最前線から30kmに位置するウクライナ東部の終着駅クラマトルスクに鉄道でドローンを持って降り立った際、その数週間前にミサイル攻撃を受けた同駅の悲惨な被害を目の当たりにし、それ以来、最前線まで鉄道で行くのはやめたとスムレニー氏は沈痛な声で語りました。
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