エンジンそこ!? ロシアの「超高く飛ぶ航空機」が異形すぎる件 でもなんか既視感が…!

異形のルックス、何が強み?

 M-55では「双ブーム式」と呼ばれる翼構成を採用しています。これは、エンジンの高熱の排気へ伸ばした胴体をさらすことなく、垂直尾翼と水平尾翼をより後ろに配置し、操縦の安定性を確保できるというメリットがあります。左右のブームの最後部をつなぐ部分は水平安定板になり、空気の薄い高々度でも飛行性能を確保しやすいでしょう。

 そしてM-55の胴体が太いのは、米国など西側陣営に比べて大きく重い旧ソ連を含めたロシアの偵察機材を収納するためだったと思われます。

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U-2偵察機(画像:アメリカ空軍)。

 とはいえ、ロシアが今回、1機しか稼働していないと伝えられるM-55にまで偵察ポッドを搭載し試験を行ったところに、高々度無人偵察機の有無や、ウクライナ上空の制空能力といった面での、ロシア側の困窮が透けて見えると思うのは筆者(清水次郎)だけではないと思います。

 ただし、ほとんどの航空機が飛ばない高度2万m以上を飛行できる有人機は、まだ活躍の場があるということを、M-55がU-2とともに示したのも間違いないでしょう。M-55の名を聞く機会がこれから増えるとすれば、それは、ロシアがウクライナの電子・電波情報収集に血眼でいて、侵攻をやめるつもりはないことを示していると言えそうです。

【了】

【写真】変態設計だろ…これが「ソ連版U-2」全貌です

Writer: 清水次郎(航空ライター)

飛行機好きが高じて、旅客機・自衛隊機の別を問わず寄稿を続ける。

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