エアバス異形貨物機「ベルーガ XL」出揃う! 日本では見られない激レア機…でも”先代”はたまーに来日…そのワケ
なぜ「ベルーガXL」日本では見られない?
エアバス社の工場はヨーロッパ各地に11か所点在しており、それぞれで各部分のパーツが組み立てられたのち、最終組立工場へと運ばれます。「ベルーガ XL」は、この工場間で旅客機のパーツを輸送すべく作られました。
こういったパーツ輸送用の巨大輸送機がエアバス社で用いられるのは、「ベルーガ XL」が最初ではありません。この歴史は1970年代の同社草創期、A300旅客機のパーツ輸送を目的としたターボプロップ輸送機「スーパーグッピー」の導入から始まり、1990年代に入るとA300をベースとした「ベルーガST」がデビュー。「ベルーガ XL」はいわば3代目にあたる存在です。
「ベルーガ XL」は、業績を伸ばし続けるエアバス社の生産率向上に対応するため、そして同社の双発機「A350」シリーズの立ち上げにともない開発されました。
スペックの向上も図られています。これまでの「ベルーガST」と比較し30%輸送能力がアップ。「ベルーガ ST」では1枚のみだったA350の主翼を、「ベルーガ XL」では2枚同時に運ぶことができます。また、ターンアラウンドタイム(到着から次のフライト出発までの折り返し時間)も「ベルーガ XL」は1時間。既存の「ベルーガ ST」の半分の時間まで短縮されているとのことです。
ちなみに「ベルーガ」は日本語でいうと「シロイルカ」の意味。「ベルーガ XL」には目が描かれ、機首のコックピットの窓あたりからは「口」をイメージした黒いラインが引かれています。
なお、「ベルーガ XL」のデビューに伴って、先代の「ベルーガST」は完全にお役御免となったかというと、そうではありません。
エアバスでは、パーツ輸送業務から外れた「ベルーガST」を利用し、その胴体を生かして他社からの大型貨物の空輸サービスを提供する事業をスタート。サービス開始発表時、これらの機体の離着陸回数に相当する「総サイクル数」が、設計限度である3万回に満たない(サービス開始時1.5万サイクルと公開)ことが背景にあります。
日本ではその事業の一環で、日本の顧客ヘリコプターを輸送すべく、不定期で神戸空港へと飛来してくることがあります。2024年時点では同空港へは、4回の飛来が確認されています。
【了】
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