“ウクライナのことを思って”は本当か!? フランスの下心が透ける「ミラージュ2000」供与の動き

「帯に短し、たすきに長し」なミサイルって?

「MICA」と同様の空対空ミサイルとしては、同じくウクライナ空軍へ提供予定のF-16AMなどが搭載するAIM-120「アムラーム」や、ロシア空軍のSu-35などが搭載するR-77「RVV-AE」があります。

 ただ、それらと比べると「MICA」はかなり小さく、射程距離も短いという欠点もあります。なぜそうなったかというと、他国であれば別々のミサイルとして開発・生産される、格闘戦用の短射程ミサイルと、主力となる視程距離外(BVR)ミサイルを、フランスは「MICA」1種類で賄おうとしたからです。

 搭載ミサイルが1種類で済むなら、運用の効率化を図ることが可能です。そのような設計思想によって「MICA」は開発されたため、BVRミサイルとしては射程が短く、短射程ミサイルとしては機動性が低いという欠点を含有する形になってしまったと言えるでしょう。

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訓練で編隊飛行を行うベルギー空軍のF-16AM(手前2機)とフランス航空宇宙軍の「ミラージュ2000-5F」(画像:フランス航空宇宙軍)。

 実際、そのような欠点ゆえに「帯に短し、たすきに長し」になってしまっているという批判もあり、この部分が「ミラージュ2000-5」の空戦能力はF-16に劣ると見なされる根拠にもなったりしています。

 一方で「MICA」は、敵機を検知するセンサーがレーダー方式と赤外線イメージングセンサー方式の2種類用意されていることから、複数の誘導タイプを同時に発射することで、電波妨害と赤外線妨害どちらも無効化できるという長所も持っています。そう考えると、この点は「ミラージュ2000-5」のユニークな特徴と捉えることもできそうです。

【これがミラージュ2000-5の一大特長!】賛否両論あるミサイル「MICA」アップで見る(写真)

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