“ウクライナのことを思って”は本当か!? フランスの下心が透ける「ミラージュ2000」供与の動き
フランスの動きは戦後を睨んだものか?
筆者(関 賢太郎:航空軍事評論家)が考えるに、おそらくウクライナ空軍にとって「ミラージュ2000-5F」は空対地攻撃において、より重要な存在になるのは間違いないでしょう。なぜなら、AASM「ハンマー」ロケットモーター付き滑空爆弾、「SCALP-EG」巡航ミサイル、「エグゾセ」空対艦ミサイルなど、フランス製の各種誘導弾を運用できるからです。そういった点は、強みとなり得ます。
フランスは、すでにウクライナへ誘導兵器の供与を行っていますが、「ミラージュ2000-5F」を供与するということは、誘導弾の供与を拡充することも同時に約束したと見ることが可能です。
今回の「ミラージュ2000-5F」も、すでに供与が決まっているNATO(北大西洋条約機構)諸国のF-16AMも、どちらも新型戦闘機が導入されることによって余剰となった中古機であり、最新鋭とは言い難い機体です。また構造寿命も自ずと限界があり、損耗も考えられることから、近い将来後継機が必要となるでしょう。
ひょっとしたら、今回のフランスの動きには、あらかじめ自国製の戦闘機や各種兵装など航空戦システムを丸ごとウクライナへ供与することで、同国を自国製兵器に「慣らし」てしまい、将来その後継として「ラファール」を輸出したい、という思惑も含んでいるのかもしれません。
【了】
Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)
1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。
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