ウクライナF-16の強力なライバルか!? ロシア版「トムキャット」戦闘機の“恐ろしい性能 ”とは

たとえるならロシア版「トムキャット」?

 そもそも、MiG-31は低空侵攻する爆撃機や巡航ミサイルの飽和攻撃に対抗するために開発されました。なお、その性能と開発経緯から、アメリカのF-14「トムキャット」と比較されることもあります。

 F-16を主力に据えようとしているウクライナ空軍にとって、MiG-31は脅威になるのは間違いありません。F-16のレーダー探知距離や空対空ミサイルの射程はMiG-31の半分以下であり、ロシア空軍がMiG-31による積極的な防空作戦を実施すると、ウクライナ空軍は苦戦を強いられるでしょう。

 R-33やR-37といった長射程の空対空ミサイルは、その大きさから運動性が低く、戦闘機相手にはあまり有効ではないと考えられるものの、相手に回避行動を強いて作戦をキャンセルさせることができます。超長距離から虎視眈々と獲物を狙うMiG-31の存在は、ウクライナ空軍にとって大きな重圧になると考えられます。

Large 240619 mig31 02

拡大画像

MiG-31は全長22.67m、最大離陸重量46.2tもあり、現用戦闘機としては世界最大。戦闘機というよりも「空中ミサイル発射機」に近いだろう(関 賢太郎撮影)。

 1991年の湾岸戦争において、F-14は何発かのAIM-54「フェニックス」長射程空対空ミサイルを発射しましたが、1機の戦闘機も撃墜できませんでした。これは、F-14の強さを知っているイラク空軍戦闘機パイロットが、F-14のレーダー波を逆探知すると即座に逃げたことが原因であるとも推察されます。

 このことを鑑みると、MiG-31「フォックスハウンド」も同様に恐れられることになるかもしれません。今後の戦局にどのような影響を与えるのか、注視したいところです。

【了】

【お尻からなんか出した!】特徴あるMiG-31、極超音速ミサイル「キンジャール」アップも(写真)

テーマ特集「ロシア軍のウクライナ侵攻 最新情勢 戦争はどうなっているのか」へ

Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)

1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。