「ドクターイエロー」空から見たことある? 走る姿は神秘的! “黄色い理由”の効果!!
名鉄と近鉄を一緒に収める
東京で遭遇した2年前、2014(平成26)年8月5日には名古屋でも遭遇しました。野球好きの編集部のオーダーを受け、今は二軍本拠地となったナゴヤ球場と新幹線を一緒に捉えて欲しいとのことで、ナゴヤ球場脇を通過する東海道新幹線を空撮していたのです。
数々のドラマを生んだ球場の脇を通過する新幹線。こういったシーンはほかの地域では捉えられません。しばらく撮影していると、南の方から黄色い車体が見えました。「ドクターイエロー」の登場です。偶然の出会いに驚きましたが、名古屋の街を行く「ドクターイエロー」の姿を捉えられるチャンスです。
名古屋らしいシーンは何があるだろうかと考えました。思いついたのは私鉄との並走。名古屋駅直前では東側に名鉄、西側に近鉄が寄り添います。「ドクターイエロー」を追尾しながらパイロットへ「近づいて」「離れて」と細かく指示しつつ、名鉄の車両をやや遠目に狙い、名古屋駅に到着する寸前で近鉄乙特急と同じフレームに収めることができました。
923形は、営業車両ではほとんど引退している700系車両をベースとしています。2024年6月のJR東海とJR西日本の発表では、923形の老朽化のため、JR東海所属車(T4編成)は2025年1月、JR西日本所属車(T5編成)は2027年に引退するとのこと。後継車両は製造されず、営業車両のN700S系に検測機器を搭載して検査をすることになります。
鮮やかなイエローで人々を魅了する「ドクターイエロー」の雄姿が見られるのも、あとわずかです。神出鬼没の「ドクターイエロー」とは、またどこかで会えるでしょうか。筆者はその機会を空から狙っています。
【了】
Writer: 吉永陽一(写真作家)
1977年、東京都生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、建築模型製作会社スタッフを経て空撮会社へ。フリーランスとして空撮のキャリアを積む。10数年前から長年の憧れであった鉄道空撮に取り組み、2011年の初個展「空鉄(そらてつ)」を皮切りに、個展や書籍などで数々の空撮鉄道写真を発表。「空鉄」で注目を集め、鉄道空撮はライフワークとしている。空撮はもとより旅や鉄道などの紀行取材も行い、陸空で活躍。
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