「戦車にもなる」「負傷者も運べる」実はほぼラジコン!? 変幻自在の「ロボ車両」戦場を変える? 陸自はどう使うのか

戦車にもなる!

 地上を走るUGVは、UAVに比べて乗る負傷兵の心理的な抵抗が小さく、負傷兵の後送などの手段として有力視されており、ウクライナは寄贈されたテーミスを活用しています。

 テーミスの活用により、実際にどの程度の人名が救えたのかを示す明確な資料はないのですが、ミルレム・ロボティクスはテーミスを使用すれば、1名以上の負傷者をテーミスのオペレーター1名で後送できると述べています。またテーミスには最大1200kgの貨物が搭載できるため、重量の大きな医療器具や大量の輸血用血液などもオペレーター1名で前線へ輸送できるとのことです。

 前に述べた実証実験に参加したウクライナのアンナ・グヴォズジャル戦略産業副大臣は「これらの装備は前線で必要であり、負傷者と軍医の両方の命を救います」と述べており、またオレクサンドル・シルスキー軍総司令官も「最新のロボット車両を使って負傷者を搬送することは、極めて重要なことです。戦場から適切な医療を受けられる場所まで兵士を避難させるのに必要な時間を短縮することができます」と述べていることから、テーミスの活用で負傷兵の後送や医療器具の輸送などの効率化が図れたことは確かなようです。

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ウクライナの最前線で負傷兵を運ぶシーン。最低でも人員2名が必要となる(画像:ウクライナ領土防衛隊)。

 テーミスは2024年6月の時点で、お膝元のエストニアをはじめ16か国に採用されている、履帯で走行する多用途UGVです。

 多用途というだけあって、遠隔操作式の機銃やミサイルランチャー、各種センサーを搭載すれば戦闘任務や偵察任務などにも、各種センサーを搭載すれば偵察任務にも使用できます。車体中央部の貨物スペースには、遠隔操作式の兵装や各種センサーの代わりに、人員や貨物を搭載することが可能で、ウクライナの慈善団体に寄贈された車体の貨物スペースには担架が置かれ、負傷兵の後送や医療器具の前線への輸送に使用されています。

【え…】無人車両で運ばれる負傷兵/無人ドローンで運ばれる負傷兵(写真)

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