まるで急行「はまなす」の代わり! 東京から前泊ナシで朝イチ札幌へ 道内「夜行バス」の真価
広大な北海道。しかし夜行バスはそれほど盛んではありません。道都・札幌と、北海道3番目の人口を持つ都市・函館とのあいだでも、現状では1往復のみです。同区間を運行する「函館特急ニュースター号126便」に乗車し、道内夜行需要を見てみます。
便利なダイヤで盛況
23時51分、五稜郭公園で3人乗車。続いて日付が変わった午前0時5分、五稜郭駅前で3人、0時10分の昭和二丁目では2人が乗車しました。「PayPayで支払いました」「確認します」とのやりとりに、現代の乗務員は確認する事項が多くて大変だと感じました。
そして0時34分の新函館北斗駅前では乗車ゼロ。終電後の駅舎内で待機はできないので、冬季は函館駅前からの乗車が推奨されています。函館支店では、事前の予約は15人と聞いていましたが、筆者を入れて乗客は24人。直前予約が多いのでしょう。定員は29人ですから、乗車率は83%。なかなかの盛況です。出発後、車内は消灯しました。
乗務員から案内があり「途中休憩に2回停車しますが、乗務員用で、お客様の下車はできません」とのこと。うつらうつらしていましたが、1時51分と3時51分に休憩停車がありました。
翌朝は5時5分の本社前(札幌市清田区)から停車が始まり、直前の4時47分より天井の電灯が付きます。不思議なバス停名ですが、調べると北海道バスの本社のようです。降車はなく、通過でした。
5時14分着の月寒中央通11丁目は、札幌市営地下鉄東豊線の福住駅(札幌市豊平区)近くで1人が下車。5時20分着の豊平郵便局前は通過でした。そして、定刻である5時34分より5分ほど早く札幌駅前に到着しました。下車した15人は若い乗客ばかりで、女性も多くいました。
早朝に札幌駅に着くことで、6時52分発の網走行き特急「オホーツク1号」や、7時30分発の稚内行き特急「宗谷」といった、通常は札幌に前泊しなければ乗車できない列車を利用できるのも126便の価値です。
5時40分着の大通りバスセンター前では2人下車。足の悪いおばあさんへ乗務員が声かけし、介助されながら下車していきました。そして終着の市電すすきの前には5時48分着。残る6人が下車しました。
バスの停車位置近くには、地下鉄すすきの駅の出口がありますが、始発前でシャッターが閉まっていました。
【了】
Writer: 安藤昌季(乗りものライター)
ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロイラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。
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