74式戦車よりも重いの!? “見た目トラックな”ロケットランチャー 裏には米国の影も

タイヤ駆動ロケット砲の復権はウクライナ戦か

 GMLRSのようなトラックベースのロケットランチャーは、軍事の世界では古くから存在します。ただ、搭載するロケット弾の長射程・精密誘導化によって、旧来のロケットランチャーよりも遠くの目標を正確に攻撃できるようになりつつあります。これにより、前線部隊への火力支援だけでなく、後方の敵司令部や部隊集結地点を少数で、かつピンポイント攻撃できる新たな兵器へと進化しました。

 その具体例を示したのが、現在もロシアの侵略によって戦闘が続くウクライナ紛争です。ウクライナ軍はアメリカから供与されたHIMARS(High Mobility Artillery Rocket System:高機動ロケット砲システム)を運用しています。同軍の配備数は約30両と、少数ながらも多くの戦果を上げています。

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「ユーロサトリ2024」で初公開されたトラックベースのロケット砲システム「GMARS」(布留川 司撮影)。

 HIMARSの特徴は攻撃能力だけでなく、高い機動性による生存性の高さも挙げられます。トラックベースの車両のため、小振りで機動性に富んでいます。これによってウクライナ軍は移動・射撃・離脱の一連の流れを短時間で行い、敵のロシア軍に車両の存在を察知されずに攻撃を成功させています。

 こうした特性から、ウクライナで活躍しているHIMARSですが、その一方で他のヨーロッパ諸国では、このようなトラックベースの精密射撃可能な長距離ロケット砲システムをこれまで運用していませんでした。そのため、エストニア、イタリア、ラトビア、リトアニアがHIMARSの導入をウクライナ危機後に決定。そのほかに複数の防衛企業が新しいトラックベースや装輪式のロケット砲システムをこの地域の各国軍隊に提案しています。

 なお、このようなトラック型の高性能ロケットランチャーには、前出のGMARSのほかに、ドイツとフランスの合併企業KNDS社による「EuroPULS」や、韓国のハンファ・エアロスペース社が手掛けたK239「 チョンム」などがあります。

【船上からドーン!!】これがHIMARSの射撃シーンです。めったに見られない弾体も

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