「アゴがシャクレてる!」ステルス試作機 X-32復元終わって一般公開へ F-35より優秀でも不採用ナゼ?

テスト時の評価はイマイチだった…。

 両機の実験を行った際、STOVL (垂直離着陸)モードのテスト時にX-35が、途中で手を加えず超音速飛行の後ですぐさま垂直離発着の検証に移れたのに対し、X-32は一部部品を変更する必要がありました。ボーイングは、量産型ではこの変更は必要ないと約束したものの、印象は良くありませんでした。

 さらに、垂直離着陸の方法が、ハリアーに似た直接排気方式だったことも不評だったそうです。ほかにも、実証機の製造から8か月後に、海軍から操縦性の改善が要求され、新たにX-32Bという水平尾翼があるタイプも提案されるなど、X-35に比べ量産までに解決すべき課題が多くあったのも問題視されたのかもしれません。

 こうした要因もあり、2001年10月26日にJSF計画の採用機体はX-35に決定したようです。それから20年以上、F-35として制式化された同機は、アメリカ空海軍および海兵隊のほか、日本の航空自衛隊を含む多数の国で導入が進むベストセラー機にまで昇華しています。

 一方、X-32は採用競争に敗れた後、2005年になって国立アメリカ空軍博物館に収蔵されることになりましたが、長らく屋外に放置されていたことで機体はけっこう傷んでいました。そこで、2022年末から、館内展示に先立ち機体全体の点検と大規模な修理を行うことが決定、2023年末に全てのチェックを完了していました。

 ちなみに同機は、エアインテーク周りが特徴的な出っ張りになっているため、その見た目からアメリカでは「最も醜い戦闘機」のひとつとして定期的にネタにされるほど。また、日本でもその外観から「シャクレ」「アゴ」などと呼ばれています。

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「全裸のイーグル」こと試作型F-15もX-32の近くで展示される(画像:アメリカ空軍)。

 空軍博物館の発表では、すでに研究開発ギャラリーコーナーで展示済みとのことで、近くには「ストリーク・イーグル(全裸のイーグル)」と呼ばれた、高度記録の更新のためにチタン合金むき出しのナチュラルメタル仕上げになった試作機のF-15もあるといいます。今回の動画公開に際して、博物館は投稿者コメントで「最近公開された追加作品に興奮しています」と明言しています。

【了】

【角度によっては…】これが、容姿をネタにされる戦闘機です(写真)

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