「なんだコンテナか」実はミサイル発射機だった!? 現代戦における擬態 バレない以外のメリットは

民間規格のコンテナにした理由はほかにも

 このランチャーには複数の派生型があり、そもそもの開発コンセプトは、GLSDB用のランチャーをさまざまな形で開発することにあるようです。

 前出のISOコンテナ仕様以外にも、剥き出しになったランチャーをトラックに積載する「ライト・ソリューション」と呼ばれるタイプがあるほか、軍艦に搭載するタイプのランチャーも開発する予定だといいます。

 また、ISO規格のコンテナを利用した理由は、カモフラージュ以外にもあるとのこと。物流業界の標準規格を採用することで、世界中のあらゆる種類のトラックで輸送できるようになるため、運用面での柔軟性が向上するほか、導入・運用面でのコスト削減が期待できるそうです。

 実際、ISO規格のコンテナを軍用機器のプラットフォームとして利用するアイデアは、サーブ以外にもアメリカ、中国、ロシアなど各国の防衛企業がこれまでにも発表しており、それらの多くはやはりカモフラージュ以外の目的として、輸送と展開の効率化を狙ったものばかりでした。今回の「ユーロサトリ2024」でも、ドイツのラインメタル社がISO規格のコンテナベースにしたドローン発射機のコンセプトを発表していました。

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陸上自衛隊輸送学校の10tトラック(PLS付)。荷台に民間輸送用の20フィートコンテナを搭載している(画像:陸上自衛隊)。

 軍事の世界では、戦闘車両といえば履帯式(いわゆるキャタピラ)の車両が定番でしたが、現在は陸上自衛隊の16式機動戦闘車や19式装輪自走155mmりゅう弾砲などのように、機動性を向上させる目的で装輪式(ホイール)の戦闘車両が増えつつあります。

 ミサイルについても、12式地対艦誘導弾や03式中距離地対空誘導弾の発射機のようにトラックタイプのものが増えています。それらを鑑みると、あらゆるトラックで輸送できるISOコンテナ式のランチャーというのは、かなり有用だと言えるのではないでしょうか。

 兵器もユニット化やモジュラー化が進んでいます。ひょっとしたら、機動性と効率化を目指して、このようなコンテナ式の発射機が数年後には各国の軍隊に普及しているかもしれません。

【了】

【コレで動きます】ミサイル発射コンテナの内部にある各種システムをイッキ見(画像)

Writer: 布留川 司(ルポライター・カメラマン)

雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info

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