なぜ「交通系ICカードやめます」相次ぐ? “代替手段あるから”だけじゃない 苦しい事情はJRも同じ?

交通系ICカードが登場して約四半世紀。全国相互利用サービスが開始してからは約10年が経過しました。しかしここへ来て、地方の事業者を中心に撤退が加速しそうです。クレカタッチやQRコード決済が台頭する中、ICカードは岐路に立たされています。

脱・全国交通系ICカード 熊本から

 鉄道の乗車券制度が急速に変化することになりそうです。JR東日本と東武鉄道を含む関東私鉄7社は2024年5月29日、磁気式の「普通乗車券(近距離券)」を2026年度末以降、QRコード乗車券に置き換えると発表しました。

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ICカード専用の自動改札機(画像:ぱくたそ)。

 紙にQRコードが印刷された乗車券自体はすでに、沖縄都市モノレール(ゆいレール)が2014(平成26)年に、北九州高速鉄道(北九州モノレール)が2015(平成27)年に導入していますが、舞浜リゾートライン(ディズニーリゾートライン)も2025年夏以降、QRコード乗車券を導入し、2026年度末までにすべての磁気乗車券を置き換える計画です。

 一方、紙の乗車券に代わって全国で普及が進んだ交通系ICカードも、大きな転機を迎えつつあります。

 熊本電気鉄道など熊本県内の鉄道・バス事業者5社は5月31日、全国交通系ICカードの対応を2024年12月に終了し、地域ICカード「くまモンのIC CARD」と、2025年3月に導入予定のクレジットカードのタッチ決済のみにすると発表しました。

 熊本市内交通の中心的役割を担っている熊本市電は、先行して2023年4月にタッチ決済を導入、さらに全国交通系ICカードへの対応を2026年4月に終了する方針を発表しており、5社はこれに追随する形です。

 SuicaやPASMOなど全国交通系ICカード10種類の全国相互利用サービスは2013(平成25)年3月に始まりました。地域交通系ICカードは、いずれかの全国交通系ICカードシステムを介して「ICカード相互利用センター」に接続されており、10カードは地域交通で利用できますが、逆はできない「片利用」の関係にあります。

 くまモンのIC CARDは2015年4月に誕生し、2016(平成28)年3月にJR九州のSUGOCAと接続して10カードとの片利用を開始しました。今回の決定は、SUGOCAとの接続を解除し、独立した地域交通系ICカードに戻ることを意味しています。

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