なぜ「交通系ICカードやめます」相次ぐ? “代替手段あるから”だけじゃない 苦しい事情はJRも同じ?

交通系ICカードが登場して約四半世紀。全国相互利用サービスが開始してからは約10年が経過しました。しかしここへ来て、地方の事業者を中心に撤退が加速しそうです。クレカタッチやQRコード決済が台頭する中、ICカードは岐路に立たされています。

とてつもない額の更新費用

 その理由は10カードの利用が少なかったからではありません。5社の2023年度利用状況は全国交通系ICカードが24%、くまモンのIC CARDが51%、現金などが25%であり、10カードは全体の4分の1を占める重要な決済手段でした。ちなみに市電は約半数を占めています。

 プレスリリースは決定の経緯として、インバウンドの増加などニーズの多様化に応えるためとしつつ、「費用についても既存の機器をそのまま更新することに比べ、約半分のコストで更新が可能であることから、経営の効率化を実現できると考えております」と付け加えています。しかし、多様化だけであればサービスを追加すれば済む話ですから、後半こそが本音です。

 当時の報道によれば、5社が2016年に全国交通系ICカードへの対応に要した費用は8億円でした。更新費用は同額ではないにせよ、熊本電鉄の2023年度の純利益は4700万円ですから途方もない金額です。熊本市は2024年度予算案にタッチ決済導入の助成金約1億1200万円を計上して事業者を支援していますが、10カード対応は予算上の制約から難しかったのかもしれません。

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広島電鉄(乗りものニュース編集部撮影)。

 こうした問題は熊本にとどまりません。広島市内で路面電車やバスを運行する広島電鉄は2021年、全国交通系ICカードで利用可能な地域交通系ICカード「PASPY」からの脱退を表明し、地域交通事業者に衝撃が走りました。PASPYのシステム更新は7~8年ごとに約50億円かかり、参加32社が利用比率に応じて費用負担していますが、利用の多い広電が半分程度を負担しています。

 PASPYは広電抜きでは成り立たないため、2024年度末のサービス終了が決定。PASPYはICOCAに接続されていましたが、こちらは接続どころかシステムそのものを廃止するに至ったのです。

 代替サービスとして広電グループは独自の決済システム「MOBIRY DAYS」、広島高速交通(アストラムライン)や広島バスはICOCAを導入しています。また広電は10カードへの対応策として、SF乗車のみ対応(定期券機能を持たない)する簡易式ICOCAを導入予定です。

【ICカードやめた未来!?】これが新型改札機です(写真)

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