なぜ「交通系ICカードやめます」相次ぐ? “代替手段あるから”だけじゃない 苦しい事情はJRも同じ?

交通系ICカードが登場して約四半世紀。全国相互利用サービスが開始してからは約10年が経過しました。しかしここへ来て、地方の事業者を中心に撤退が加速しそうです。クレカタッチやQRコード決済が台頭する中、ICカードは岐路に立たされています。

ICカードは先細りか

 現行の交通系ICカードはICカード本体に記録したデータを、複数のサーバーを介して同期していくシステムです。そのためICカードの読み取り・書き込みが可能な改札機・車内端末、利用情報を管理する営業所サーバー、IDを管理する基幹サーバー、これらを接続する通信ネットワークから構成されます。

 10カードの片利用には、10カードシステムとの接続サーバーと、接続するためのソフトウェア開発が必要で、さらに10カード側にシステム利用料を支払わなければなりません。導入後も定期的に必要なシステム維持更新費用は、特に中小会社にとって大きな負担となります。

 これに対してクレジットカード決済は、ICチップのIDを読み取り、決済データはサーバーで管理するため、システムの構成ははるかにシンプルです。クレジットカード決済なので加盟店手数料はかかりますが、地方の中小バス事業者で導入が相次いでいることからもコスト面の優位性は明らかでしょう。

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新しいSuica改札システム(画像:JR東日本)。

 では交通系ICカードは先細りになるのでしょうか。結論から言えば、およそ25年前の技術で作られた現行システムは遠からず姿を消していきます。JR東日本が導入を進めるセンターサーバー式の新型SuicaやQR乗車券はタッチ決済と同様、IDを読み取ってサーバー上で処理する仕組みであり、すべての乗車券システムはこの方式に収斂していくのでしょう。

 問題は、地方の中小事業者がそこまで耐えられるかです。JR東日本ですら導入途上であり、他社への展開はまだ先の話。設備更新のタイミングとの兼ね合いもあり、今後も地域交通系カードの存続、全国交通系ICカードの片利用を断念するケースはほかにも出て来そうです。

【了】

【ICカードやめた未来!?】これが新型改札機です(写真)

Writer:

1982年、埼玉県生まれ。東京地下鉄(東京メトロ)で広報、マーケティング・リサーチ業務などを担当し、2017年に退職。鉄道ジャーナリストとして執筆活動とメディア対応を行う傍ら、都市交通史研究家として首都圏を中心とした鉄道史を研究する。著書『戦時下の地下鉄 新橋駅幻のホームと帝都高速度交通営団』(2021年 青弓社)で第47回交通図書賞歴史部門受賞。Twitter:@semakixxx

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