性能はF-15並み!? 幻の「スーパーミラージュ」なぜ失敗に終わったのか フランスが生んだ最強戦闘機

自国軍は興味なし それなら石油王を頼っちゃえ

 スペック上は「ミラージュ2000」よりも優秀だった「ミラージュ4000」。しかし、ダッソー社の一番のお得意さまであったフランス空軍は、意外にもこの機体に興味を示すことはありませんでした。

 最大の理由はコストで、双発機は単発機と比べて導入・整備・運用のすべての費用が高くなることから、当時のフランス空軍は高額な双発戦闘機を必要としていませんでした。

 また、「ミラージュ4000」は「ミラージュ2000」と並行して開発されていたため、フランス空軍としては、導入するつもりのない「ミラージュ4000」開発よりも、本命の単発機「ミラージュ2000」の開発を優先してもらいたいという腹積もりもあったようです。実際、フランス軍事省は「ミラージュ4000」の試作機について正式発注していなかったため、開発はダッソー社の自己資金のみで進められていました。

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正面から見たミラージュ4000。バブルキャノピーやカナード翼といったミラージュ2000に特徴がある(布留川 司撮影)。

 ただ、国内では顧客が見つけられなかった「ミラージュ4000」ですが、海外にはこのプロジェクトに初飛行前から興味を持つ国がありました。それが中東のサウジアラビアとイランです。

 両国は産油国であるため、そこから得たオイルマネーをバックボーンにして、当時は高額な欧米兵器の導入を進めていました。

 特にイランは映画『トップガン』で有名になった可変翼戦闘機F-14「トムキャット」をアメリカ以外で唯一導入した国でした。文字どおり「金に糸目を付けぬ」スタイルでイランは世界各国の最新兵器を片っ端から調達していたことから、「ミラージュ4000」のような母国空軍ですら導入を躊躇した高額な戦闘機であっても、それを導入できそうな数少ない潜在的顧客だったといえます。

 こうした経緯から、ダッソー社も「ミラージュ4000」の海外輸出には積極的で、試作機の塗装を砂漠迷彩に塗り替えたこともありました。

【石油王が買ったかも?】これが唯一無二の砂漠迷彩「スーパーミラージュ」(写真)

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