一時漂流の「高速ジェット船」機関トラブルが他人事でないワケ 維持更新できる人材だいじょうぶ?

世界の「ジェットフォイル」の半数近くが日本に

 その外観や構造から「水中翼船」と呼ばれることもあるジェットフォイルですが、メーカーであるボーイングでは、「ジャンボジェット」の愛称で知られる747を始めとして、737や777、787などと同じく「929」という3ケタの数字からなるモデル名を付与しています。

 研究そのものは1960年代前半から始まっていますが、当初は軍用に主眼が置かれており、1968年に最初の実用艇として沿岸パトロール用の「トゥーカムカリ」が就役すると、その快速性にNATO(北大西洋条約機構)が注目し、ミサイル艇の開発へと進みます。

 一方、ボーイングではこの技術を基に旅客船にも着手。こうして1974年に生まれたのが「ボーイング929」でした。

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佐渡汽船の「つばさ」(柘植優介撮影)。

 日本では、佐渡汽船が1977年に導入したのが最初で、その後、川崎重工がライセンス生産契約を締結。以後は国内建造が主流になります。なお、国産艇は1989年より就航しており、1995年までに16隻が川崎重工神戸工場で建造されています。

 2024年現在、日本国内で「ボーイング929」を運航しているのは、前出の東海汽船、佐渡汽船のほかに、隠岐汽船、九州商船、九州郵船、種子屋久高速船で、その数は約20隻にもなります。
 
 建造数は、ボーイングと川崎重工、そして同じくライセンス生産契約を結んだ上海新南船廠の3企業で合わせて44隻なので、その半数近くが日本で運航されている計算になります。

 こうして見てみると、実は日本がジェットフォイル(ボーイング929)大国であることがわかるでしょう。

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