海ないのになぜ戦艦!? かつて日本とも戦ったヨーロッパの内陸国とは「潜水艦長」には有名人も

かつてヨーロッパ屈指の海軍力を誇ったオーストリア。「なぜ内陸国に海軍が?」と思うかもしれませんが、実は100年ほど前は欧州列強のひとつに数えられた国で、戦艦や潜水艦を多数保有していました。

日本海軍と戦った軍艦も

 第一次世界大戦時にはドイツ帝国と共に、フランス・イギリス・イタリアなどの連合国と戦いました。一方、日本は連合国側についたので、オーストリア・ハンガリー帝国海軍の艦艇は、日本海軍と戦いました。場所は中国の青島です。

 1914年、ドイツに宣戦布告した日本は、ドイツが拠点としていた青島の攻略に向かいます。しかし、同地の主力であるドイツ海軍はすでに本国へ向けて出発しており、残されていたのは小型艦ばかりでした。ただ、その中にオーストリア・ハンガリー帝国海軍所属の防護巡洋艦「カイゼリン・エリザベート」が含まれていたのです。

 攻め込んできた日本海軍は旧式艦艇を中心とした第2艦隊でしたが、青島に残されていた小型艦艇だけでは到底かないません。彼らは、日本海軍からの攻撃が始まる前に艦艇の武装を陸上要塞に転用するため、それらを陸揚げしました。

 そして、実際に戦いが始まると、日本海軍の防護巡洋艦「高千穂」を撃沈する戦果を挙げるなど奮戦。一方で、「カイゼリン・エリザベート」をはじめとする中央同盟国側の艦艇は、日本軍に鹵獲されることを恐れて、すべて自沈しています。

 ちなみに欧州戦線へと目を転じると、戦艦「セント・イシュトヴァーン」が現在では貴重な歴史的資料となっています。同艦は1918年6月10日にイタリア魚雷艇が放った魚雷の直撃を受け戦没していますが、公海上で沈没したからか、一連の様子を動画で記録された史上初の戦艦となりました。

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世界で初めて沈没までの様子を動画で捉えられた戦艦となった「セント・イシュトヴァーン」(画像:パブリックドメイン)。

 大きな海軍力を持っていたオーストリア・ハンガリー帝国ですが、第一次世界大戦では、連合国軍に敗北。また、領内の諸民族が相次いで独立したことで帝国は消滅します。こうしてオーストリアとハンガリーは現在とほぼ同じ領土となり、内陸の国家へと姿を変えました。

 また、アドリア海の覇権を争った大海軍は、軍人・艦艇ともに分裂した諸国や戦勝国へと移譲されたことで、オーストリア・ハンガリー帝国海軍は消滅することになったのです。

【了】

※一部修正しました(8月7日11時04分)。

【ああ、沈んでいく…】これが、世界で初めて動画撮影された戦艦の沈む姿です(写真)

Writer:

なぎはまな。歴史は古代から近現代まで広く深く。2019年現在はフリー編集者として、某雑誌の軍事部門で編集・ライティングの日々。趣味は自衛隊の基地・駐屯地めぐりとアナログゲーム。

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