「見た目ほぼ戦艦ですよね?」 条約無視でどんどんデカくなった“重巡洋艦” ほら、やっぱり戦艦に間違われた

第一次世界大戦の敗戦で、軍備が制限されたドイツ海軍は、英独海軍協定締結後に再軍備を推進。こうして建造された軍艦のひとつが、ドイツ唯一の重巡洋艦「アドミラル・ヒッパー」級でした。

アドミラル・ヒッパー級は3隻が完成

 アドミラル・ヒッパー級の舷側は垂直装甲と、水平装甲の一部を傾斜させて垂直装甲の裏に二重装甲として配置していましたが、1枚板の分厚い装甲を重視した他国と比較すると、重量が重く、防御された区画が少ない欠点がありました。それでも垂直側防御力は他国に劣りませんでしたが、水平装甲はかなり薄く、航空爆弾や遠距離砲戦の命中弾には不安がありました。

 最大の問題点は機関で、鋼材の強度不足と過度な軽量化、高温高圧化により不具合が多発し、長時間の高速運転ができませんでした。アドミラル・ヒッパー級は5隻が計画され、うち完成したのは3隻。最後に建造された「プリンツ・オイゲン」では船体がさらに大型化し、基準排水量は1万5660トンに増大しています。

Large 20240808 01
原爆実験のため、浅瀬に放置されたアドミラル・ヒッパー級の「プリンツ・オイゲン」(画像:アメリカ陸軍宇宙ミサイル防衛司令部)。

 第二次世界大戦で「アドミラル・ヒッパー」は、駆逐艦3隻撃沈、輸送船・商船を計11隻撃沈などの戦果を上げます。3番艦「プリンツ・オイゲン」は1941(昭和16)年5月、戦艦「ビスマルク」と共にライン演習作戦に出撃し、戦艦と誤認されてイギリス戦艦に砲撃されるなどして、砲火を分散させました。戦艦に似せた設計意図が当たったわけです。そして終戦まで生き延びました。

 終戦時「プリンツ・オイゲン」はドイツで唯一の行動可能な大型艦でしたが、戦後の1946(昭和21)年、ビキニ環礁で行われた原爆実験に駆り出され、沈没しました。

【了】

※一部修正しました(8月8日10時50分)。

【写真】艦隊を組む重巡「アドミラル・ヒッパー」

Writer:

ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロイラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。

最新記事

コメント

記事ランキング

  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  3. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号
  4. 飛行中の「日の丸特別機」に粋なサプライズ! 天皇皇后両陛下を“最新ステルス戦闘機”がお出迎え
  5. 「危なすぎる!」阪神高速“中の人”がブチギレ!? “衝撃動画”とともに呼びかける「ドライバーが守るべき3つのこと」とは
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. 「“再有料化”でいいから4車線化して」→普通車280円になって1年 利用者負担で勝ち取った“効果”あきらかに 八木山バイパス