「見た目ほぼ戦艦ですよね?」 条約無視でどんどんデカくなった“重巡洋艦” ほら、やっぱり戦艦に間違われた

第一次世界大戦の敗戦で、軍備が制限されたドイツ海軍は、英独海軍協定締結後に再軍備を推進。こうして建造された軍艦のひとつが、ドイツ唯一の重巡洋艦「アドミラル・ヒッパー」級でした。

条約制限を大幅に超過

 完成したアドミラル・ヒッパー級は、日本の高雄型の1万1350トン(大改装後1万3400トン)、イタリアのザラ級の1万1680トンより重く、世界最大の重巡でした。本級を超える排水量の重巡は、条約終了後にアメリカが建造したデ・モイン級の1万7273トンだけです。船体サイズも他国重巡より大きいヒッパー級は、意図的に戦艦に似せたデザインで、堂々たる艦容でした。

 レーダーはこの案を承諾し、対外的には1万トンと発表しました。つまりアメリカ、イギリス、フランスの重巡より約4割排水量が多かったのですが、では性能はどうだったのでしょうか。仮想敵だった「アルジェリー」、同世代艦のアメリカ重巡「ウィチタ」と比較してみましょう。

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1930年代に、トゥーロンもしくはマルセイユの港で撮影されたもの。左に見切れているのが重巡洋艦「アルジェリー」(画像:アメリカ海軍)。

●アドミラル・ヒッパー

基準排水量1万4454トン、全長205.9m(改装後)、全幅21.3m、20.3cm56.7口径砲8門、10.5cm60口径高角砲12門、舷側装甲80+50mm、水平装甲20~30mm、砲塔前盾160mm、53.3cm3連装発射管4基12門、航空機2機、速力32.5ノット(約60.2km/h)、航続距離1万2593km(19ノット〈約35.2km/h〉時)

●アルジェリー

基準排水量1万トン、全長186.22m、全幅20m、20.3cm55口径砲8門、10cm45口径高角砲12門、舷側装甲110mm+20mm、水平装甲30~80mm、砲塔前盾100mm、55cm3連装発射管2基6門、航空機3機、速力31ノット(約57.4km/h)、航続距離1万4816km(15ノット〈約27.8km/h〉時)

●ウィチタ

基準排水量1万589トン、全長185.42m、全幅18.82m、20.3cm55口径砲9門、12.7cm25口径高角砲8門、舷側装甲51~165mm、水平装甲57mm、砲塔前盾203mm、航空機4機、速力33ノット(約61.1km/h)、航続距離1万8520km(15ノット〈約27.8km/h〉)

 上記の通り、アドミラル・ヒッパー級はヴェルサイユ条約下でドイツの設計経験が少ないこともあり、4000トン以上小さい「アルジェリー」とほぼ互角、「ウィチタ」には主砲数、装甲厚、速力、航続力の全てで劣り、的が大きくなるので小さくしたい船体サイズでも10%以上上回りました。ただ主砲の20.3cm60口径(他国基準だと56.7)口径砲は命中精度に優れ、最大射程3万3540mは実用的な20.3cm艦載砲の中では世界一でした。

【写真】艦隊を組む重巡「アドミラル・ヒッパー」

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