カスタムカー「HOTROD」は禁酒法が由来!?「警察を振り切れ!」運び屋の道楽、いまやアメリカ文化の代名詞に

アメリカのモーターカルチャーを語る上で欠かすことのできないHOTRODは、その起源が密造酒の運び屋たちによるクルマの改造や非合法レースにありました。紆余曲折を経た意外なHOTRODの歴史を振り返ります。

禁酒法による混乱の「落とし子」として誕生

 大排気量のV8エンジンの心臓を持つアメリカ車をベースに、皆を振り返らせるように派手に内外装をドレスアップしたうえで、スピードと加速性能を追求した改造を施したカスタムカーのジャンルを「HOTROD(ホットロッド)」と言います。

 HOTORODは、アメリカのモーターカルチャーを語るうえで欠かすことのできないものであり、その語源については、エンジンパーツのコンロッドもしくはプッシュロッドが改造によって焼けるように熱くなるからという説や、ロードスター(2人乗りのオープンカー)がベース車に選ばれることが多く「HOT ROADSTER」を略してHOTRODになったなど諸説あり、正確なことはわかっていません。

 ただ、語源についてはともかく、HOTRODの起源についてはハッキリしています。その始まりは1920年1月にアメリカで施行された禁酒法が深く関係しているのです。

 飲酒運転が犯罪とされていることからもわかる通り、酒とクルマほど相容れないものはありません。では、なぜ禁酒法がHOTROD誕生に関係しているのでしょうか。その前に禁酒法とはどんな法律だったのか、簡単に解説しておきましょう。

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ボンネットからブロワー(スーパーチャージャー)が突き出た1968年型ダッジ・チャレンジャー。HOTRODの1ジャンルでドラッグレーサーを公道仕様にしたプロストリート仕様(山崎 龍撮影)。

 禁酒法とは米国禁酒協会や宗教団体、女性団体などが世論を後押ししてできた法律で、アルコールによる健康への影響や飲酒による犯罪、そして家庭内暴力の根絶を目的に成立しました。この法律は一般に飲酒を禁じた法律と思われがちですが、じつはアルコール飲料全般の製造、販売、輸送、輸出入のみを禁止しており、飲酒行為そのものについては違法とされませんでした。

 そのため法の抜け道として酒の入手手段はいくつもあり、需要はいささかの衰えも見せなかったことから、ギャングによる密輸や密造酒作りが横行しました。しかも、巨額の酒税を失った政府は弱体化し、警察による犯罪摘発の手が緩んだことで犯罪組織が勢力を伸ばし、各地で縄張りを巡ってギャング同士の抗争が激化、治安まで悪化しています。

【え、日本円で買えるの!?】驚きの値札が掲げられた「ホットロッド」も(写真)

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