カスタムカー「HOTROD」は禁酒法が由来!?「警察を振り切れ!」運び屋の道楽、いまやアメリカ文化の代名詞に
レースカーと袂を分かち公道走行を前提したカスタムカーに
その後、アメリカは第2次世界大戦へと参戦。1945年に戦争が終わると、平時体制への切り替えとともに大勢の若者が復員して故郷へと戻って行きました。
そのようななか、若者の中にはスピードへ情熱を燃やす者も少なくはなく、彼らは廃車寸前の中古車を手に入れては、自宅のガレージや納屋を整備工場代わりにDIYで修理し、フォードが大衆車用に量産した3.6L「フラットヘッド」V型8気筒エンジンへ載せ替えるなどの改造を施すことで、最新モデルをも凌ぐ高性能車を作り上げたのです。
彼らは手塩にかけて仕上げたマシンを平日には仕事や日常のアシとして使い、週末になるとスピードトライアルやドラッグレースの相棒としました。運び屋出身のベテラン勢に加え、若者たちが参入したことにより、アメリカのモータースポーツは活況を呈して行きます。
しかし、1950年代に入ると競技の先鋭化に伴って、ほとんどのレース参加者は公道走行ができない専用のレースカーで参戦するようになりました。
その一方、クールなカスタムカーで公道を飛ばしたいという需要も依然旺盛だったため、ここでレース車両と公道を走る改造車とに分岐するようになります。この公道を走る改造車こそHOTRODの原点となるSTREETROD(ストリートロッド)です。
なお、現在ではSTREETRODという言葉は、HOTRODの1ジャンルであり、1949年以前のクラシックカーをベースに製作された公道走行可能なマシンのことを指すようになっています。
【了】
Writer: 山崎 龍(乗り物系ライター)
自動車やクルマを中心にした乗り物系ライター。愛車は1967年型アルファロメオ1300GTジュニア、2010年型フィアット500PINK!、カワサキZX-9R、ヤマハ・グランドマジェスティ250、スズキGN125H、ホンダ・スーパーカブ110「天気の子」。著書は「萌えだらけの車選び」「最強! 連合艦隊オールスターズ」「『世界の銃』完全読本」ほか
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