海自“ヘリ空母”より巨大! 海保が「超マンモス巡視船」を導入へ 実は“有事”睨んでる?

南西地域の一般人避難を考慮

 多目的巡視船を整備する背景について海保は「近年、深刻な被害をもたらす自然災害などが頻発しており、(2024年1月に発生した)能登半島地震ではその地理的特性などから海路とヘリコプターを利用した空路からの物資と人員輸送の有効性が確認されている」と説明します。

 そのうえで、「現在、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境と言われる中で、南西地域を含む住民の迅速かつ安全な避難を実現するために、輸送手段の確保など国民保護のための体制を強化する必要がある」と述べ、建造の意義について強調しました。配備先については大規模な港にしか入れないことから、ゼロベースで考えているとのことです。

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アメリカ沿岸警備隊の巡視船「キンボール」(左奥)と並走する海上保安庁の「あきつしま」(右手前)。「キンボール」は、全長127m、排水量4500トンで「あきつしま」よりも小さい(画像:アメリカ沿岸警備隊)。

 防衛省は2025(令和7)年度概算要求で、車両とコンテナの大量輸送に特化した民間船舶6隻をPFI(民間資金活用)方式で確保するため509億円を計上しました。これは、南西地域の島嶼部へ部隊などを輸送する海上輸送力を補完するためで、2024年度予算で導入が決まった2隻を合わせてPFI船隊は8隻まで拡充されます。南西有事を見据えた輸送能力の強化が進む中、海保も避難民や車両の輸送に特化した多目的巡視船の整備を決めたと捉えることができるでしょう。

 海上保安庁は、2025(令和7)年度概算要求で、前出の多目的巡視船を整備すべく、まずは34.3億円を要求しています。この予算が要求通り認められるか、今後の動向が注目されます。

【了】

【イメージ画像】デカすぎる! これが「異形の巨大巡視船」です

Writer: 深水千翔(海事ライター)

1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。

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