信号機の長~い「フード」もう要らないの? 最近あまり見なくなったワケ 災害時は“あった方が”よい?

強風で曲がった際に露呈したデメリットとは

 信号機のサイズや灯火の明るさなどは、警察庁が定める仕様によって細かく決められています。2017(平成29)年度以降は、LEDの性能が向上したことや製造コスト削減の観点から、従来よりも小型化し、庇も取り払った信号機が仕様として定められました。

 小型信号機は全てがLED式ですが、LED自体の性能向上に加え表面のレンズも改良し、さらにやや下向きに角度をつけて設置することで、太陽光による影響を軽減。誤認防止については、レンズの内側に特殊な加工を施し、ある一定の角度から外れると灯火が見えなくなるようになっています。

 こうすることで、灯火の外側に突起物としての庇を設けなくても課題を克服した信号機は、積雪しづらくなる、強風の影響を受けにくくなる、軽量といったメリットも生んでいます。しかし一方で、まさに強風により曲がってしまった場合に、思わぬデメリットも見えてきました。

 それは2018(平成30)年9月、台風21号が関西を中心に大きな被害をもたらした際のことです。大阪府内では停電により多くの信号機が消灯したうえ、強風により“明後日の方向”を向いてしまいました。やがて停電が復旧し信号機が点灯しても、小型信号機は多くが使い物にならない状態でした。

 というのも従来の信号機は、たとえ曲がってしまっても庇の隙間から灯火が漏れ、何色が点灯しているかは分かるのですが、小型信号機の場合、前出の通り一定の角度から外れると灯火がほとんど見えません。そのため再点灯しても、消えているのとほぼ変わらない状態にしか見えなかったのです。誤認防止の性能が裏目に出てしまったともいえるでしょう。

【了】

【写真】日本一長いと噂のバズーカみたいな信号機

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