もみ消された!? 自衛隊による史上初の災害派遣「人命第一」が処分の対象に なんで?

陸上自衛隊の源流は、朝鮮戦争の勃発によって誕生した警察予備隊です。当時は再軍備への懸念から、警察予備隊の出動命令は内閣総理大臣しか出せませんでした。それが、初の災害派遣でいろいろ問題になりました。

警察予備隊創設時のトップ、吉田首相の思惑

 今でこそ当たり前になった自衛隊による災害派遣ですが、その歴史は意外と古く、始まりは元組織である警察予備隊の時代まで遡ることができます。

 とはいえ、最初はやはり試行錯誤が続いたようです。警察予備隊が創設された際、当時の総理大臣であった吉田 茂氏は、警察予備隊が国民からの支持を受けるためには、災害派遣は必要であると考えていました。

 また彼の中には、警察予備隊は旧日本軍とは異なるということを国民に対して示す必要があるという考えもあったようです。その結果、警察予備隊では災害派遣を積極的に行っていこうという方針でした。これは、吉田 茂氏による「災害派遣は地方民の利益」という言葉を具現化したもので、政治的にも推進しようとする1つの大きな理由になっていたようです。

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東日本大震災で浸水地域から住民を救出する陸上自衛官(画像:陸上自衛隊)。

 また、一説によると災害派遣には警察予備隊の主任務である「治安維持」も含まれるという見方もあったとか。こういった背景から、吉田 茂氏は大規模災害が起きた際には、警察予備隊を派遣する考えは当初から根底にあった模様です。

 加えて、実はもう1つ警察予備隊が災害派遣を行う大きな理由がありました。それが「シビリアンコントロールのテスト」というもの。設置の根拠となっていた警察予備隊令には「内閣総理大臣の命を受け行動する」という治安出動のルールがありました。その一方で、災害派遣に関するルールはなかったため、災害派遣にも「内閣総理大臣の命を受けて行動する」というルールを適用しようとした模様です。

 つまり、戦前にあった軍による独断を許さず、戦後の新体制となった警察予備隊のシビリアンコントロールが正常に機能するのかをテストしようとしていたのです。

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