「北海道沖に核廃棄するな!」日本の税金も使ったオンボロ原潜の大量解体ようやく目途 ただウクライナ侵攻の影響で今後は?

世界的なプロジェクトで解体が進行していくことに

 その後、2002年カナダのカナナスキスで行われたサミットでG8により「大量破壊兵器及び物質の拡散に対するG8グローバル・パートナーシップ」が結ばれます。その一環として、極東地域の退役原潜解体事業に日本のほか、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、韓国などが費用を拠出し、ロシア側の自助努力を促しつつ国際協力をするという方針が打ち出されました。

 この合意の一環として、日本はヴィクターI型やヴィクターIII型などの原潜6隻の解体に協力します。この事業は「希望の星」と命名され、2003年12月から2009年12月まで行われました。

 その後は、ロシアの経済的な立ち直りなどもあり、潜水艦の解体も順調に進み、2015年6月には1999年から旧ソ連やロシアの退役潜水艦201隻の解体を担当していたロスアトムの重役が国営メディアのタス通信の取材に「過去のように潜水艦が処分のために列をなすことがないようにすることに成功した」と発言するまでになっています。

 こうして、軌道に乗った原潜の解体事業は、急速なスピードで行われるようになり、今回の発表に至ったといえるでしょう。ただ今日のような状態になるには、日本や諸外国の資金援助や協力が必要不可欠だったことは間違いありません。

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2016年末に退役ではなく改修後に復帰したと言われる旧ソ連時代に建造されたデルタ型原子力潜水艦「リャザン」(画像:ロシア国防省)。

 しかし、2022年2月から始まったロシアによるウクライナ侵攻により、日本をはじめとしてアメリカやイギリス、ドイツなど、いわゆる西側の主要国はロシアに対して経済制裁を行っている状況です。そのため、今後退役する原潜の解体がスムーズにいくかは不透明です。

【了】

【うわ、作業かなり大変…】これが「輪切りにされた」ロシア原潜です(写真)

Writer: 斎藤雅道(ライター/編集者)

ミリタリー、芸能、グルメ、自動車、歴史、映画、テレビ、健康ネタなどなど、女性向けコスメ以外は基本やるなんでも屋ライター。一応、得意分野はホビー、アニメ、ゲームなどのサブカルネタ。

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