「高すぎる!」非難殺到のアメリカ将来戦闘機、シラけムード拭えず 対案で浮上の“廉価版”とは?

機体にお金をかけないのが現代の戦闘機開発か

 なお、非正規戦ではNGADはオーバースペックであり、低レベルのミッションに対応できる多目的軽戦闘機の必要性も議論されています。ただし、軽ステルス機は軽装になる分、航続距離が短くなり、ペイロードも減少します。これが広大な太平洋地域での運用において問題となる可能性があるのです。

 アメリカ空軍は次世代給油機、すなわちステルスタンカー構想を進めており、2024年9月にはNGADとも関連していることが確認されています。ステルスタンカーが実現すれば、作戦地域近くで給油できるようになり、軽ステルス機でも活動範囲が広がるでしょう。

 ステルスタンカーを含むさまざまな機能を、軽ステルス機のような有人・無人プラットフォームに分散させ、任務に応じて組み替える方法が合理的であるとの意見も出ています。機体にはできるだけ金を掛けず、ソフトウェアをアップデートすることで最新の状態を維持するというコンセプトです。これが第6世代戦闘機のひとつの解答かもしれません。

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NGADを支えるかもしれない次世代給油機(ステルスタンカー)(画像:ロッキード・マーティン スカンクワークス)。

 垂直尾翼すらない未来戦闘機のイメージには夢がありますが、あらゆる機能をひとつのプラットフォームに詰め込んでハイエンドを追求する発想は、実は未来的どころか、時代遅れかもしれないという皮肉です。ロッキード・マーティンやボーイングは、NGADの元受け業者としては入札に参加しないことを示唆しており、NGAD計画が事実上凍結されているとの情報もあります。このような巨額の計画が、純粋な軍事的要因だけで動くことはあり得ないのです。

【了】

垂直尾翼ないんですが… これが第6世代戦闘機のイメージです(画像)

Writer: 月刊PANZER編集部

1975(昭和50)年に創刊した、40年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。

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