「新基準原付」製品発表はいつ? 50cc扱いの125cc メーカー団体代表が初言及 着々と進む準備と“懸念”
排気量125ccのバイクの一部モデルを、原付免許でも運転できるようにする「新基準原付」の法令改正に向けた動きが進む中、日本自動車工業会二輪車委員会の委員が、その開発について言及。生産を担う委員の公式発言はこれが初めてです。
新基準原付のパブコメは「活動の大きな成果」
排気量125cc以下のエンジンバイクを、最高出力4kW以下に抑えて、日本国内での原付バイク供給を確保するための制度「新基準原付」の意見募集(パブリックコメント)が、2024年9月30日まで行われました。対象は、運転に関する道路交通法の内閣府令改正、車両基準に関する道路運送車両法施行規則改正の2点です。
9月27日に開催された会議「バイクラブフォーラム」の中で、日本自動車工業会二輪車委員会委員でホンダ執行役、二輪・パワープロダクツ事業本部長の加藤 稔委員は、新基準原付が法令や規則改正の段階に入っていることについて、次のように話しました。
「この度道路交通法、車両運送法の指定の見直しをして、パブリックコメントが実施されました。活動の大きな成果であります」
新基準原付のパブリックコメントについて、生産者の代表団体の委員が言及するのは、初めてのことです。バイクラブフォーラムは、経済産業省と日本自動車工業会など二輪車9団体、三重県、熊本県など8つの地方自治体あわせて18の官民で構成される会議体です。
日本自動車工業会の役員を務めるホンダは、その責任から警察庁が実施した新基準原付の基準作りで車両を提供するなど、社会実装に向けた役割の一翼を担ってきました。加藤氏は同社の二輪車事業の責任者です。
バイクラブフォーラムでは、新基準原付の製品発表はいつ頃なのか、という質問も会場から出ました。これを受けて、加藤氏はこう話しました。
「先ほど質問がありましたが、各社いま、新基準原付の開発生産の準備をしております。新機種のご案内については、改めて各社からご案内をさせていただくことになると思います。もう少しお待ちください」
新基準原付では、交通や車両の課題は決着しつつありますが、ナンバープレート交付の基本となる軽自動車税の課税議論が、まったく進んでいません。経済産業省、警察庁、国土交通省は8月末までに新基準原付の税制について「現行の第一種原付の軽自動車税率を参考としつつ、適切な税額の適用を要望する」と税制改正要望をしました。
しかし、税制の法改正を前提としたため、最短でも2024年末の税制大綱まで、取り扱いの方向性が見えません。新基準原付と従来の原付1種の税額は400円しか変わりませんが、問題は税額より、総務省の対応の遅れが、新しい原付を必要とする通学や通勤の季節に間に合わない可能性が高いことです。
【了】
Writer: 中島みなみ(記者)
1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。
結局は取り締まりのウマミを残したい警察のごり押しでしょう。