これぞ「石破列車」!? 鉄道を“動く病院”や“巨大な救急車”に 「病院列車」構想の現実味

鉄道で「命を救う」という新しいコンセプトの構想が現実味を帯びてきています。「動く病院」にも、「巨大な救急車」にもなり得ます。鉄道の防災利用に、石破新首相も注目しているようです。

鉄道は「地上最大の移動空間」

 国土交通省が2024年9月6日、鉄道に関する優れた取組みを表彰する「日本鉄道賞」の令和6年度の受賞プロジェクトを発表しました。審査員には学術・メディア関係者に加え、棋士の藤井聡太さんや、女子鉄アナウンサー久野知美さんらの文化人も並ぶきらびやかな賞です。
 
 その中でたった一つ、鉄道会社以外で受賞したプロジェクトが、Rail-DiMeC 研究会による「鉄道の災害医療への活用(病院列車構想)」です。

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神戸市営地下鉄海岸線で行われたDMATによる搬送訓練の様子。リフトカーで医療資材を搬入している(画像:RailDiMec研究会)。

 病院列車とは何でしょうか。考えてみると、寝台客車はベッド、電源、空調、水、トイレ、シャワー、供食などの設備が揃っており、水と燃料があれば稼働を続けられ、移動する病院や避難所にもなり得ます。

 何両もの車両を連結すれば「地上を移動する最大の空間」となり、大型の医療機器なども搭載できそうです。日本では客車列車がほぼ消えましたが、トラックや船にも積めるISOコンテナであれば、さらに機動性が高まるかもしれません。

 大災害が起きると、破壊された線路などショッキングな映像も多く報道されるので、鉄道の復旧には時間がかかるのでは?と思うかもしれません。しかし実際には鉄道線路が破壊されることは少なく、被災しても早期に復旧した例は多くあります。被災地近くの前線基地のように、医療拠点がいち早く設置できる事は、大きな力となりそうです。

地下鉄の列車を使って行われた「訓練」

 実際に2023年11月、神戸市営地下鉄海岸線の本線を走る列車で、災害医療支援チーム(DMAT)が駅を拠点に患者を搬送する想定で訓練が行われています。この訓練に技術面での助言を行ったのが、同年5月に発足したRail-DiMeC(鉄道の災害医療への活用)研究会です。

 列車の1号車車内には医療スタッフ、エンジニア、医療機器会社とともに簡易手術台や経皮的人工心肺装置(ECMOシステム)などが設置され、工学チームにより医療機器の動作確認、振動や車内騒音データなどが計測されました。これは患者を搬送する間の医療ケアを検討するためです。

【え…!】マジで「病院」になった地下鉄車内(写真で見る)

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