「これが軽トラ?オシャレだね」を60年提供!? ダイハツ「ハイゼット」はいつだって“スズキとは違うのだよ”
女性ユーザーからの意見も柔軟に採用
また、ハイゼットの派生モデルが多く誕生したのも1980年代で、トラックでは農用仕様のクライマー、キャビンを拡大させたジャンボを発売。また、バンタイプにはガルウィング式のガラスルーフ「コスミックルーフ」を採用したアトレーというモデルをラインナップしました。
この辺は1970年代までのハイゼットが持っていた「実用性だけでない遊び心」を感じますが、やがてアトレーは独立し、ハイゼットはトラック、バンともにさらに「実用性」を高めていきました。
その印象は1990年代に入るとさらに色濃くなり、1999(平成11)年に登場した9代目ハイゼットのバンは、ハイゼット カーゴと名称変更。さらに実用ユーズへの訴求を図ったように感じるモデル名ですが、なんと9代目バンは自動車デザインの巨匠ジウジアーロによるものです。丸みを帯びた優しい意匠で「商用車・実用車であっても、ユーザーの気持ちにゆとりを与えたい」といったダイハツが意匠にかける思いは失われていませんでした。
ハイゼット カーゴは2004(平成16)年に10代目が登場し、さらにシンプルな外観になりました。2017(平成29)年にマイナーチェンジしますが、フルモデルチェンジは20年以上行われていません。
一方、トラックのハイゼットは2014(平成26)年にフルモデルチェンジ。10代目となったハイゼット トラック エクストラには冒頭で触れたオプションカラーパックを用意していますが、これは女性ユーザーからの意見を受けて考案したもの。真っ赤などのかわいいオプションカラーのハイゼットは、従来の商用車にはない明るくポップな印象を与えました。
また、2020年の60周年の際にはダイハツがハイゼットのオープンカーモデルをコンセプトカーとして発表。ここまでのハイゼットが、各モデルで密かに感じさせた「実用性だけでない遊び心」がさらに表出したようにも映りました。さらに2021年にはダイハツ車としては初めて「グッドデザイン・ロングライフデザイン賞」を受賞。ここまでに培ってきたハイゼットの感性での面が評価されました。
社外メーカーによるカスタムパーツも多く存在するハイゼット。これから先の未来もその優れた実用性に加え、ユーザーの感性に問いかけるような楽しい取り組みをしてくれることを期待します。
【了】
Writer: 松田義人(ライター・編集者)
1971年、東京都生まれ。編集プロダクション・deco代表。バイク、クルマ、ガジェット、保護犬猫、グルメなど幅広いジャンルで複数のWEBメディアに寄稿中。また、台湾に関する著書、連載複数あり。好きな乗りものはスタイリッシュ系よりも、どこかちょっと足りないような、おもちゃのようなチープ感のあるもの。
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