新車で買える「80年前のクラシックカー」エアコン・エアバッグだって付け放題! どういうこと?

第二次世界大戦の影響で1960年代に乗用車市場から撤退

 こうして、アルヴィスは1930年代に高級車メーカーとして確固たる地位を築き上げますが、第二次世界大戦の勃発により、政府によって戦争終結まで乗用車の生産が禁止されてしまいます。しかも、1940年11月には、ドイツ軍の空襲、いわゆるコヴェントリー爆撃で工場も半壊してしまいました。

 戦後、戦前モデルをベースにした「TA14」で自動車の生産を再開したアルヴィスでしたが、戦後復興で高級車市場は縮小しており、製品の売れ行きは鈍化しました。その結果、戦後モデル「TA21」の発表は1950年までずれ込み、以後はこのモデルの改良でしのぐことになります。こうして戦前の隆盛を取り戻せぬまま、1965年にはローバーに吸収され、さらに1968年の国営企業ブリティッシュ・レイランドにローバーが参加したのを機に、乗用車市場から姿を消しました。

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1927年型アルヴィス「FWDストレート8グランプリ・カー」。同年10月1日の「世界マニファクチュアラー選手権・英国グランプリ」への参戦を目標に製造されたが、完成の遅延から出走は叶わなかったものの、翌々週の「JCC200マイルレース」に参戦した(山崎 龍撮影)。

 しかし、乗用車生産の撤退から41年後に復活の機運が立ち上がります。2009年、アルヴィスのスペシャリストによって設立された「レッド・トライアングル」社が商標を買い取ると、「コンティニュエーション(継続)・シリーズ」と銘打ち、1937年から73年間の中断を経てアルヴィス「4.3リッター」の生産を再開したのです。

 2024年現在、アルヴィスではこれに続いて、1950年代の「3リッター」も「コンティニュエーション・シリーズ」として生産を再開しており、今後はモデル数を5種類まで拡大することを発表しています。

 とは言え、1930~1960年代の乗用車は、現代の安全基準や保安基準を満たしておらず、これらアルヴィス車はせっかく生産しても登録ができず、公道を走れないと思われるかもしれません。

 しかし、心配はご無用。生産国のイギリスはもちろん、日本でもナンバーを取得して公道をドライブできるのです。

【写真】アルヴィスが開発した「異形」6WD戦闘車両たち

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