廃線を「自分で運転」してみた! “あの日のまま”の線路と列車で「は、速い!」「停まらない…!?」運転士が心底スゴいと思った件
心臓バクバク! でも運転前に色んな動作が必要!
集合場所は、旧神岡鉱山前駅です。駅入口には、数台が駐車できるスペースがありますが、入口右側のスペースでは、道路からのアプローチする角度が急な場所もあり、車高が低いクルマでは注意が必要です。
築堤の上に作られた旧神岡鉱山前駅は当時さながらに残されていますが、ホームへの通路・階段には電気がないので、ちょっとしたダンジョン気分です。運営団体の方や指導にあたる元神岡鉄道の運転士、そして運転体験参加者で集合して挨拶し、注意事項の伝達を受け、いざ「おくひだ号」KM-100形(101号)と対面します。
線路と同様、開業時・営業運転時の姿をそのままに留めるKM-101号は、僚機のKM-151号とともに1984(昭和59)年に新潟鐵工所で誕生。製造コストを抑えるために、多くの部品を国鉄キハ20形気動車から流用していました。車内には囲炉裏を模したサロンスペースが設けられているのが特徴です。
神岡鉄道では旅客輸送用にこの2両のみを所有し、101号は「おくひだ1号」、151号は「おくひだ2号」と名付けられていました。151号も動態保存されており、2両連結して運転体験に供されることもありますが、基本的には101号による単機運転が実施されます。
この日、筆者以外の参加者は、ここでの運転を2桁回数行っているベテランのみなさんで、一連の機器類の操作・運転技術を習熟していました。そしてついに筆者の順番がやってきました。手にはブレーキ弁ハンドルとレバーサーハンドルが持たされ、心臓はバクバクです。
運転体験は、単にマスコン(クルマでいうアクセル)、ブレーキを使って走らせるだけではありません。鉄道車両はクルマと違い前後に進むため、それに関連する機器や灯火類のスイッチ操作が必要です。
そのため運転台シートに座る前に、指導運転士による指示のもと、ブレーキ弁ハンドルのセット、使用する運転台を選択するスイッチの切り替え、エンジン出力の向きを変更する逆転機スイッチの切り替え、前照灯オン・標識灯(テールライト)オフ、などを行います。切り替えスイッチの操作には、前述のレバーサーハンドルを用います。そして、液体変速機(トルクコンバータ。クルマでいうオートマチック・トランスミッション)の切り替えレバーを、「変速」を意味する「変」に入れます。
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