廃線を「自分で運転」してみた! “あの日のまま”の線路と列車で「は、速い!」「停まらない…!?」運転士が心底スゴいと思った件

鉄道車両の運転体験は、全国各地で実施されています。今回はその中から、旧神岡鉄道の廃線上で、かつ当時の車両「おくひだ号」の運転体験に行ってきました。クルマ好きからの視点も盛り込み、その様子と感想をお送りします。

速度20キロでも「めっちゃ速い」「停まらないかも!?」

 準備が整うと着座して、いよいよ出発です。一般的な鉄道車両の運転台は左側に寄せられていますが、KM-100形ではセンターに設置されており、大きな前面窓も手伝って視界は良好です。

 左手でマスコンのノッチを1まで回すと、定格出力230ps/1900rpmを発生する、新潟鐵工所製の12.7リッター水冷直6OHV・ターボチャージャー付き直噴ディーゼルエンジン「6L13AS型」が床下から唸りを上げ、おくひだ号はゆっくりと動き出しました。

 なおこの際、足元のデッドマン装置を踏み忘れてはいけません。これは運転士が意識を失うなどの非常事態で有用な安全装置の一種で、KM-100形の場合、足を離すとブザーが鳴り響き、一定時間を置いたのち非常ブレーキが作動します。

 旧神岡鉱山前駅を出発するとすぐに転轍機(ポイント)があり、ここは15km/hの速度制限があります。転轍機を車両全体が通過したのち、マスコンを再びオンにして20km/hにアップ。

 運転体験では、20km/hが上限速度ですが、体感的にはかなり早く感じます。923mの体験区間はほぼトンネルで、往路は下り勾配。マスコンを切っても20km/hをキープしながら進んで行きます。

 トンネルの出口に停車目標があるのですが、どのあたりからブレーキをかけたら良いのかわかりません。指導運転士にタイミングを教えてもらい、ブレーキ弁に手をかけます。KM-100形には、鉄道の世界では一般的な自動空気ブレーキが搭載されています。クルマと違い空気の力でブレーキを働かせるのですが、この操作がたいへん難しいのです。

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ホーム上の停止目標に合わせてブレーキを操作する。奥にすぐ立ち入り禁止と記された紐の柵があり、つい強めのブレーキをかけてしまう(遠藤イヅル撮影)。

 ブレーキ弁ハンドルを動かす範囲は広いのですが、停車時に用いる「常用ブレーキ」の領域(位置)はわずか。しかも常用範囲がはじまる直前で、一定のブレーキ力を保持する「重なり」と呼ばれる位置には目盛りや明確なノッチがないので、わかりにくいのです。

 重なりから小さなストロークでレバーを右に動かして車両を停車させるも、最後は急激にブレーキがかかり、停止目標よりも手前で停車してしまいました。それを防ぐためにはブレーキレバーを戻せば良いのですが、停まらなかったらどうしよう!という怖さもあり、つい戻すタイミングが遅れてしまったのでした。

【懐かしい…けど超ムズイ!】「廃線を運転」する体験の一部始終を見る(写真33枚)

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