驚異の加速「蒸気カタパルト」30tの飛行機が2秒で空へ! ただ米空母の象徴“白煙モクモク”消えるかも
蒸気式に行きつくまでの試行錯誤とは
カタパルトに蒸気圧を用いるようになったのは第2次世界大戦後で、それまでには様々なタイプが開発されました。
艦艇から飛行機を発艦させるカタパルトは1930(昭和5)年前後に、世界各国において相次いで開発されました。初期のものはバネの反発力を利用した「スプリング式」などがありましたが、いずれも実用性が低かったといいます。その後、爆発力を利用した「火薬式」や、圧縮空気で射出する「空気圧式」などが登場し、これらが主流になっていきます。
なお、当時のカタパルトは飛行甲板のない戦艦や巡洋艦向けであり、水上機用でした。すでに空母は実用化されていましたが、この頃の艦載機は軽く、短い滑走距離でも空母から発艦でき、カタパルトなどの加速装置は不要でした。
艦載機用として、空母で初めてカタパルトを装備したのは、1938(昭和13)年に就役したイギリスの「アークロイヤル」です。この時、実用化されたのは油圧式で、第2次世界大戦が始まると艦載機の大型化、大重量化にともない搭載する艦が増えていきます。そしてアメリカにも技術供与され、米英空母のほとんどに装備されるようになりました。
一方、日本は最後まで空母の艦載機用カタパルトは実用化できず、用いられたのは水上機用として、戦艦や巡洋艦に装備した火薬式や、潜水艦に用いた空気圧式だけでした。
第2次世界大戦後、艦載機が大型化すると、油圧カタパルトでは射出力が不足するようになりました。また再射出までの圧力充填に時間がかかることから、イギリスは新たなカタパルトの開発に着手します。
こうして生まれたのが蒸気式です。この方式は油圧式よりも射出力が優れており、イギリスからアメリカに技術が提供され、大型空母の必需品となりました。特に原子力空母の場合、搭載する原子炉で無尽蔵に蒸気を作り出すことができることから、これを利用した強力なものが次々に開発され、大型化し続ける艦載機に対応していきました。
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