「最新イージス艦が航行不能」事件 原因はテロか?スパイか?…「小学生でもわかるミス」だった!?
イージスシステムを積んだ最初期の軍艦である「ヨークタウン」が、海上で突然航行不能になりました。原因を追究してみると、その理由は単純ではありますが、多くの人には予想外でした。
艦内にWindowsを納入したのが悪い?
なぜ割り算のミスで航行停止という事態が起きたのか。これは、アメリカ海軍主導で行われた「スマートシッププログラム」に端を発します。
1990年代といえば、家庭用パーソナルコンピューター、いわゆるパソコンが開発され、一家に一台の割合で普及し始めた時期です。
大型のコンピューターシステムが必要なくなり使いやすくなったパソコンは瞬く間に広まりました。アメリカ海軍がこの家庭用パソコンに目をつけ、スマートシッププログラムという名で艦艇への導入を開始したのです。
もともとアメリカ海軍にもコンピューターがなかったわけではありません。しかし大型で場所をとる業務用のコンピューターは、特別な訓練を受けたオペレーターしか扱えず、また艦艇への搭載には適していませんでした。
そこで、家庭用パソコンを導入し、「臨戦態勢時のさまざまな計算」「乗務員の作業負荷軽減」「オペレーションコストの削減」などを図ることになりました。OSに選ばれたのは、マイクロソフト社の「Windows NT」です。同OSはWindowsの業務用OSとしてこの頃には既に一般企業にも広く普及しており、信頼性は抜群でした。「ヨークタウン」にも同OSがインストールされた16台のコンピューターが運び込まれました。そして運用が開始され約1年経ったころに事件は起きたのです。
小学校の算数で習う計算方法といえば「足し算」「引き算」「掛け算」「割り算」ですが、このうち割り算にだけ禁則事項があることをご存じでしょうか。それは「ゼロで割ること(÷0)」です。
現代の電卓で、÷0と入力すると「error」や「ゼロでは除算できません」といった文言が表示されます。人間でも、小学校を卒業している人ならば0では割れないことは知っています。
しかし、「ヨークタウン」に納入されたパソコンは「ゼロでは除算できない」というルールが予め書き込まれていなかったのです。この仕様こそが、「ヨークタウン」を2時間半も海に漂わせる原因でした。
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