「F-35迷子事件」は序の口!? 飛行機“暴走”の事件簿 人はどこまで「やらかしちゃった」のか

アクセルとブレーキの踏み間違いによる自動車の暴走事故。日本国内だけでも毎日のように聞く由々しき事態ですが、飛行機も大空を“暴飛行”する事例が発生しています。それは技術の進歩により、無人でも飛行できてしまうが故でもありました。

「戦い」と揶揄された墜落被害

 慌てた海軍は空軍に迎撃を依頼し、2機のF-89Dスコーピオン戦闘機がスクランブルします。アフターバーナー全開で何とか無人のF6Fに追いつき、随伴飛行を続けてロサンゼルスを通過して無人地帯に入ったところで撃墜することにしました。

 F-89Dには、当時最新の射撃管制システムで照準し自動発射できる、無誘導の対空ロケット弾104発が搭載されていました。無人機は第2次大戦中に活躍した戦闘機F6Fヘルキャットを改造した旧式のレシプロ機であり、撃墜するのは簡単そうでした。ところがそうはいきません。

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主翼端の大型ポッドに対空ロケット弾を装備したF-89D。対空ロケット弾は空対空ミサイル実用化前に、対爆撃機用としてに迎撃戦闘機に装備された(US Air Force, Public domain, via Wikimedia Commons)。

 まず射撃管制システムがうまく働かず、ロケット弾の自動発射制御ができなくなりました。そうこうするうちにも無人機は不意な旋回を繰り返し、またロサンゼルス方向に向いてしまいます。対空ロケット弾は手動発射も可能でしたが、F-89Dには目視の照準器がありません。2機のパイロットが目測で3回にわたって全弾208発のロケット弾を斉射しましたが、1発も有効弾がなく撃墜に失敗します。

 結局F6Fは燃料切れまで飛行し、パームデール地域空港から東に13kmの砂漠に墜落しました。

 一方、外れた208発の対空ロケット弾は地上に落下し、あちこちで火災を起こし建物にも被害を出しました。幸い死者は出ませんでしたが約400ヘクタールの山林が焼失し、火災を鎮圧するのに500人の消防士が2日間出動。後に「パームデールの戦い」と揶揄されるようになった事故は、第2次大戦の傑作機だったF6Fがパイロット無しでジェット戦闘機を翻弄した「戦い」でした。

【写真】暴走し墜落した飛行機の姿

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