車内で野球中継も 「テレビカー」誕生日

車内にテレビを搭載し、「走る街頭テレビ」と呼ばれた電車が誕生してから60年を迎えました。

ワンセグの影響で

 鉄道車両のなかには、車内にテレビを設置したものがあります。その代表的存在が大阪府、京都府、滋賀県に路線網を持つ京阪電車の「テレビカー」です。JRなどではグリーン車の座席に小型画面を設け、そこにテレビ放送を流すスタイルもありましたが、京阪の「テレビカー」は通勤電車の車内に32形などのテレビを設置。ごく普通の日常として「車内でテレビを見ながら通勤・通学する」という風景がありました。

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運転終了前の京阪「テレビカー」。テレビは京阪沿線に本社がある松下(パナソニック)製のものなどを使っていた。

 京阪電車の「テレビカー」が運転を始めたのは、ちょうど60年前のきょう、1954(昭和29)年9月3日です。「テレビカー」は当時、「走る街頭テレビ」と呼ばれたといいます。

 しかし昨年、2013年3月に京阪「テレビカー」は運転を終了。59年の歴史に幕を下ろしました。その理由として、ワンセグ放送の普及などで使命を終えたこと等が挙げられます。また京阪「テレビカー」で放映されていたのは基本的にNHKの地上波や衛星放送でしたが、民放のプロ野球中継が流れることもありました。

 ちなみに車内にテレビを設置し、放映したのは京阪が初ではありません。東京都と千葉県に路線網を持つ京成電鉄が、同じく1954年に走らせたものが初です。

 ただ京阪は59年間にわたって「テレビカー」を運転。他社のテレビ付き車両と比較し運転期間が圧倒的に長く、京阪「テレビカー」がテレビ付き車両の代名詞といっても過言ではないでしょう。

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