北の大地を目指す東京生まれの北海道新幹線「影の立役者」

在来線の貨物列車が多数走り、物流の大動脈になっている青函トンネル。しかし北海道新幹線を通すためトンネルを新幹線仕様にすると、貨物列車が通れなくなってしまいます。それを解決する車両が、東京から北海道へ輸送されました。

同じ場所に貨物列車と新幹線を走らせるには

 在来線と新幹線は線路の幅が異なります。一般的な在来線は1067mmで、新幹線は1435mmです。そのため青函トンネルを普通に新幹線仕様へ改造すると、貨物列車が通れなくなります。そこで青函トンネルではレールを3本使い、1本目のレールから1067mm離れた場所に2本目の、1435mm離れた場所に3本目のレールを設置。貨物列車も新幹線も通れる「三線軌条」になっています。

 ただ「通れる」と言っても、レールの幅だけの話です。在来線と新幹線は使う電気も信号システムも異なるため、青函トンネルの電気と信号システムを新幹線仕様に改造すると、やはり貨物列車が通れなくなります。

 そこで開発されたのが今回、東京から北海道へ輸送されたEH800形電気機関車です。この機関車は基本的に線路の幅が1067mmの在来線仕様で造られていますが、新幹線が使う交流25000Vの電気、DS-ATCという信号システムにも対応。新幹線仕様に改造された青函トンネルでも、貨車をけん引して走ることができます。つまりこの機関車により本州~北海道間の物流を維持しつつ北海道新幹線を実現することができた、というわけです。EH800形は2014年から量産が始まって、北海道へ順次送られています。

 ただこうした三線軌条、EH800形を使った新幹線と貨物列車による青函トンネルの共用は、大きな問題も残っています。青函トンネルで新幹線と貨物列車がすれ違った際に、新幹線の風圧で貨物列車が荷崩れを起こす可能性があり、青函トンネルでは新幹線も在来線特急並みの140km/hへ減速して走らざるを得ないのです。

 この問題を解決するため、貨物列車とすれ違うときだけ新幹線を減速させるシステムや、貨物列車をまるごと新幹線の車両に乗せてしまう「トレイン・オン・トレイン」の開発が考えられていますが、具体的な解決の目処はまだ立っていません。

 ちなみにJR貨物の機関車には公式愛称を持っているものも少なくなく、今回輸送されたEH800形のベースになったEH500形は「金太郎」、北海道を走るDF200形は「レッドベア」といった愛称があります。このEH800形にも今後、そうした愛称が付けられるかもしれません。

【了】

Writer:

鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。

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