幾度の被災を乗り越え女川駅復活 石巻線が全線で運転再開へ

津波の被害に以前から見舞われ、東日本大震災で駅舎が流出してしまった石巻線の終点、女川駅。来年3月、ついにその女川駅が復活。石巻線が全線で運転を再開します。

チリ地震の記憶ごと流出した女川駅

 2011年3月11日の東日本大震災で被災したJR東日本の石巻線が、それからおよそ4年を経た2015年3月21日、全線で運転を再開することになりました。石巻線は宮城県内の小牛田~女川間を走る44.9kmの路線です。

 この石巻線のうち小牛田~前谷地間は2011年4月17日、前谷地~石巻間は同年5月19日、石巻~渡波間は2012年3月17日、渡波~浦宿間は2013年3月16日に運転を再開しています。しかし、石巻線のうちもっとも太平洋に近い浦宿~女川間の2.5kmについては実現していませんでした(キロ数は被災前のもの)。

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津波で流出する前の女川駅。階段の青い線が、1960年のチリ地震で押し寄せた津波の高さを表していた(2008年3月、恵 知仁撮影)。

 運転再開が最後になった石巻線の終点、女川駅は太平洋に通じる女川湾の湾奥にあり、1960(昭和35)年のチリ地震によって発生した津波でも被災したことがあります。そして東日本大震災では、津波で駅舎が流出するなど甚大な被害を受けてしまいました。

 そのため石巻線を女川駅まで復旧させるにあたり、JR東日本と女川町は駅の位置を内陸へおよそ150m移動させたうえ、その周辺に女川町が商業施設や公共施設を建設するという、「まちづくりと一体となった復旧」を進めていました。

 また新しい女川駅は同様の津波発生を考慮し、7mほどの高さがある盛り土の上に再建されます。

【了】

Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)

鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。

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