首都高に設置されたドライバーを引き寄せる光 その効果は?
実際に現場を走行、その効果は?
C2品川線の開通に先立ち、2月16日からエスコートライトの運用が3号渋谷線で開始されたので、早速走ってみました。
場所は3号渋谷線下り池尻入口のやや下流から234mの区間で、左側防音壁に設けられています。またNEXCOのものは小さな長方形のLEDですが、大型トラックの割合が非常に多い首都高のものは高い位置からも見やすい縦長のLEDになっており、光の移動速度は制限速度の60km/hです。
渋滞はいつものように発生しており、設置場所までは以前同様のノロノロでしたが、エスコートライト設置区間のやや手前から明らかに速度が上昇を始め、区間が終了する頃には制限速度の60km/hに回復。設置前よりも、速度の回復タイミングが若干早いように感じました。
実際にどれくらいの効果があるかは、計測データが出ないと何ともいえませんが、恐らく渋滞の開始が若干遅くなった上、回復も早くなり、渋滞中の捌き台数も1割程度増えているのではないでしょうか。
このエスコートライトだけで渋滞を解消する力はありませんし、渋滞が始まってしまえば、上流側では以前より速度が1~2割上がるだけ。つまり平均時速12kmが14kmになる程度ですから、ドライバーがその効果を実感するのはまず無理でしょう。しかし計測してみれば渋滞の通過時間は短縮され、渋滞している時間帯も若干狭くなっている可能性が高いです。
ただ抜本的な渋滞解消は無理ながらも、この対策は費用があまりかからないという大きなメリットがあります。C2品川線の建設費は3100億円ですが、このエスコートライトはその1000分の1以下と推測されます。それで1~2割でも渋滞が減るのなら、コストパフォーマンスは抜群です。
首都高にはこのほかにも、同種のサグ渋滞発生個所がいくつかあります。効果が確認されれば、右側にもLEDを取り付けるなどの改良を加えた上で、設置個所を拡大していくことを求めたいものです。
【了】
Writer: 清水草一(首都高研究家)
1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高はなぜ渋滞するのか!?』などの著作で、首都高研究家/交通ジャーナリストとして活動中。
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