切り札「昇降式」も万能ではない? 設置進むホームドア、その現状と課題
ホームは「欄干のない橋」
「欄干のない橋」や「綱渡り」と形容されるように、視覚障害者にとってホームドアのない駅のホームは危険と隣り合わせの場所といえます。東京視覚障害者協会のまとめによると、1994年12月から今年3月までの間に、視覚障害者がホームからの転落や列車との接触によって死亡、または重傷を負った事故は計55件。転落した経験のある人の数はさらに多いとみられます。山城さんによると、視覚障害者100人を対象に行ったアンケートでは、転落したことのある人は半数の50人に上ったといいます。
山城さんは、昇降式ホーム柵について「転落がなくなるという点では前進ですが、視覚障害者の安心安全という点からすると、あまり想定されていないのでは」と感じているといいます。そして、ホームの安全性向上に向けて「これまでも国交省などに要望を出してきましたが、安心して歩ける安全な環境をつくるため、視覚障害者の声を聞いてほしい」と訴えます。
今年2月に閣議決定された国の「交通政策基本計画」は、バリアフリーの一環として2020年度までにホームドア設置駅の数を800駅とする目標を掲げています。「今の方式(従来型)で取り付けられる駅にはほぼ取り付けられてしまった」(ある業界関係者)という見方もあるなか、いま注目を浴びている昇降式の導入検討や、さらなる新型の開発は今後も進むでしょう。全ての人が安心して移動できる鉄道の実現に向けて、障害のある人の意見を取り入れた開発や検討が求められます。
【了】
Writer: 小佐野カゲトシ
1978年、東京と神奈川の境の小田急沿線生まれ。地方紙で約10年間記者として勤務したのち、2013年からフリーに。現在は国内・海外の鉄道について取材・執筆を行っている。海外の鉄道は国や地域を問わず、全般に関心を持っている。
郡山の新幹線ホーム ハヤテ通過 ホームドアなし、まともか。
ホームドアの設置が一向に進まず、転落による死亡者が出るよりは、視聴覚障害者は、昇降式でもいいから普及をいそいで貰いたいんじゃないの?
山城さんは、視聴覚障害者ではないのでは?